滑り易い床面における滑らないための歩行様式
【目的】本研究の目的は,滑り易い床面での歩行で,滑らないようにどのような身体機能を発揮しているのか,そのメカニズムを明らかにすることである。【方法】健常成人男性20名を対象とした。赤外線カメラ9台を含む三次元動作解析装置と床反力計を使用し,滑り難い床面での歩行および滑り易い床面での歩行を計測した。得られたデータより,股関節モーメントと床反力の作用線の関係を検討した。【結果】滑り易い床面での歩行では,床反力の推進力と制動力が滑り難い床面に比べ有意に小さくなり,逆に股関節の屈曲及び伸展モーメントのピークは有意に大きくなっていた。また,ピークは両側支持期であり,前方支持脚の伸展モーメント,後方支持脚...
Saved in:
Published in | 理学療法学 Vol. 36; no. 6; pp. 299 - 304 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.10.2009
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00005823063 |
Cover
Summary: | 【目的】本研究の目的は,滑り易い床面での歩行で,滑らないようにどのような身体機能を発揮しているのか,そのメカニズムを明らかにすることである。【方法】健常成人男性20名を対象とした。赤外線カメラ9台を含む三次元動作解析装置と床反力計を使用し,滑り難い床面での歩行および滑り易い床面での歩行を計測した。得られたデータより,股関節モーメントと床反力の作用線の関係を検討した。【結果】滑り易い床面での歩行では,床反力の推進力と制動力が滑り難い床面に比べ有意に小さくなり,逆に股関節の屈曲及び伸展モーメントのピークは有意に大きくなっていた。また,ピークは両側支持期であり,前方支持脚の伸展モーメント,後方支持脚の屈曲モーメントが増加していた。【結論】左右の下肢で前後に挟み込むようにすることで股関節モーメントを大きく発揮させていた。その結果床反力作用線が股関節軸から離れ,より鉛直に近く保持する戦略が用いられ,推進力と制動力を減少させていることが今回の研究で確認できた。 |
---|---|
ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00005823063 |