亜急性期での高齢者皮質下出血に対する局所麻酔下内視鏡的血腫除去術の治療成績

高齢化の進む本邦において,皮質下出血の治療選択に苦慮する機会が増えている.高齢者における内視鏡的血腫除去術の治療成績について検討した.2013年から2019年までに当院で治療した70歳以上,血腫量20ml以上の高齢者28例を,後方視的に検討した.手術治療は,2013年4月から2018年3月までは開頭血腫除去術,2018年4月以降は内視鏡的血腫除去術を選択した.その結果,保存的加療12例,開頭血腫除去術6例,内視鏡的血腫除去術10例であった.おのおのの群間で年齢,血腫サイズ,入院時意識レベルに有意差はなかったが,開頭血腫除去術群に比較して,内視鏡的血腫除去術群は入院期間も有意に短く(平均72.8...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中の外科 Vol. 50; no. 1; pp. 39 - 43
Main Authors 辻, 哲朗, 山内, 貴寛, 北井, 隆平, 菊田, 健一郎, 宇野, 初二, 橋本, 智哉, 小寺, 俊昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2022
日本脳卒中の外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.50.39

Cover

More Information
Summary:高齢化の進む本邦において,皮質下出血の治療選択に苦慮する機会が増えている.高齢者における内視鏡的血腫除去術の治療成績について検討した.2013年から2019年までに当院で治療した70歳以上,血腫量20ml以上の高齢者28例を,後方視的に検討した.手術治療は,2013年4月から2018年3月までは開頭血腫除去術,2018年4月以降は内視鏡的血腫除去術を選択した.その結果,保存的加療12例,開頭血腫除去術6例,内視鏡的血腫除去術10例であった.おのおのの群間で年齢,血腫サイズ,入院時意識レベルに有意差はなかったが,開頭血腫除去術群に比較して,内視鏡的血腫除去術群は入院期間も有意に短く(平均72.88±36.16日対130.0±29.00日,p=0.014),1カ月後のFunctional Independence Measure(FIM)は同等で(平均22.40±2.30対25.50±4.70),退院時のmodified Rankin Scale(mRS)は内視鏡手術群のほうが低かった(平均3.90±0.50対5.17±0.31).内視鏡的血腫除去術を行った症例は,10例中9例で翌日からリハビリテーションも介入でき,神経症状,特に発語や食事摂取が術前と比べ速やかに改善した.内視鏡手術群は,1カ月後のGlasgow Coma Scale(GCS)の改善度が有意差をもって保存的加療と比べよかった(平均1.70±0.67対0.50±1.24,p=0.048).高齢者皮質下出血に対して亜急性期局所麻酔下内視鏡的血腫除去術は,低侵襲であり,短い入院期間で開頭手術と同等の治療成績と機能予後が期待できる.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.39