地域住民で検討した2000年と2010年の2時点における騒音環境, 4,000Hz の聴力の変化

騒音は難聴の重大な危険因子であり, 特に職場騒音に関しては「騒音障害防止のためのガイドライン」が策定されている. また, 騒音性難聴では特に 4,000Hz 周囲の聴力低下を来すことが知られている. 今回われわれは老化に関する長期縦断疫学研究 (NILS-LSA) 第2次調査と10年後の第7次調査の調査データをもとに, 騒音環境と 4,000Hz の聴力の変化を検討した. 職場騒音がない者は第7次調査で有意に少ない一方, 自宅での騒音がない者は第2次調査の方が有意に多かった. 職場騒音があると回答した者の最も多い職種は技能的・労務的職業従事者であった. 60歳代以外の全ての年代で 4,000H...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 127; no. 8; pp. 936 - 943
Main Authors 下野, 真理子, 曾根, 三千彦, 内田, 育恵, 鈴木, 宏和, 中島, 務, 寺西, 正明, 杉浦, 彩子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.08.2024
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Subjects
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.127.8_936

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Summary:騒音は難聴の重大な危険因子であり, 特に職場騒音に関しては「騒音障害防止のためのガイドライン」が策定されている. また, 騒音性難聴では特に 4,000Hz 周囲の聴力低下を来すことが知られている. 今回われわれは老化に関する長期縦断疫学研究 (NILS-LSA) 第2次調査と10年後の第7次調査の調査データをもとに, 騒音環境と 4,000Hz の聴力の変化を検討した. 職場騒音がない者は第7次調査で有意に少ない一方, 自宅での騒音がない者は第2次調査の方が有意に多かった. 職場騒音があると回答した者の最も多い職種は技能的・労務的職業従事者であった. 60歳代以外の全ての年代で 4,000Hz の気導聴力閾値は第7次調査の方が良好であり, 職場での騒音対策による影響が考えられた. 騒音職場での従事年数と 4,000Hz の気導聴力は年齢と性を調整しても有意に相関を示した他, 3,000Hz でも相関する傾向を認めた. 騒音環境は時代により変化しており, それに伴い 4,000Hz 周囲の聴力も変化していることが示唆された.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.127.8_936