初回治療として手術を選択した p16 陽性中咽頭癌の予後因子に関する臨床的検討

p16 陽性中咽頭癌の初回手術治療例において, 予後に影響を与える因子を明らかにすることを目的に検討を行った. 東京大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で2004~2019年に初回治療に根治手術を行った p16 陽性中咽頭癌55例を対象とし, 後向きに検討した. 検討項目は新旧病期分類, 切除断端, 転移リンパ節の個数, 節外浸潤および術後照射の有無とし, 単変量解析による比較を行った. 年齢は46~82歳 (中央値67歳), 性別は男性/女性=47/8例. 旧分類では Stage I/II/III/IV=3/10/13/29例, 新 Stage 分類は I/II/III=47/6/2例であった. 経口...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 6; pp. 986 - 992
Main Authors 坂井, 利彦, 山岨, 達也, 韓, 成奎, 齊藤, 祐毅, 安藤, 瑞生, 福岡, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.06.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.125.6_986

Cover

More Information
Summary:p16 陽性中咽頭癌の初回手術治療例において, 予後に影響を与える因子を明らかにすることを目的に検討を行った. 東京大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科で2004~2019年に初回治療に根治手術を行った p16 陽性中咽頭癌55例を対象とし, 後向きに検討した. 検討項目は新旧病期分類, 切除断端, 転移リンパ節の個数, 節外浸潤および術後照射の有無とし, 単変量解析による比較を行った. 年齢は46~82歳 (中央値67歳), 性別は男性/女性=47/8例. 旧分類では Stage I/II/III/IV=3/10/13/29例, 新 Stage 分類は I/II/III=47/6/2例であった. 経口法/外切開を40/15例, うち断端陽性が 15例 (経口法11例/外切開4例) であった. 55例の内, 5個以上のリンパ節転移が6例, 節外浸潤ありを7例に認めた. 単変量解析では pN0 が予後良好因子であり, 術後に放射線治療を追加した症例で予後良好な傾向にあったが有意差は得られなかった. 全症例の5年粗生存率, 5年無再発生存率はそれぞれ86.2%, 75.2%であり, 5年粗生存率, 5年無再発生存に影響したのは第8版による Stage 分類, 病理学的リンパ節の個数 (pN 分類) であった. 単一施設の後ろ向き研究であるが, 初回手術治療例で病理学的リンパ節の個数が p16 陽性中咽頭癌の予後を正しく定義し, pN による予後層別化の可能性を示唆した.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.125.6_986