動作解析指標を用いた脊髄損傷者のプッシュアップストラテジの分類

本研究の目的は,臨床的に確認されている損傷高位で異なる脊髄損傷者のプッシュアップストラテジを運動学的な視点から分類し,その差を明らかにするとともに,損傷高位との関係を検討することである。43例の脊髄完全損傷者を対象に長坐位でのプッシュアップ動作を2次元ビデオ方式動作解析装置にて解析し,解析画像よりまず主観的に三つのストラテジに分類したものを目的変数とし,各ストラテジを判別する動作解析指標を説明変数に判別分析を行った。その結果最終的にプッシュアップストラテジは垂直型,回転型,混合型の三つに分類でき,プッシュアップ最大高は垂直型 < 混合型 < 回転型であった。垂直型と混合型間の判別で...

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Published in理学療法学 Vol. 27; no. 2; pp. 27 - 33
Main Author 水上, 昌文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.03.2000
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00001308494

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Summary:本研究の目的は,臨床的に確認されている損傷高位で異なる脊髄損傷者のプッシュアップストラテジを運動学的な視点から分類し,その差を明らかにするとともに,損傷高位との関係を検討することである。43例の脊髄完全損傷者を対象に長坐位でのプッシュアップ動作を2次元ビデオ方式動作解析装置にて解析し,解析画像よりまず主観的に三つのストラテジに分類したものを目的変数とし,各ストラテジを判別する動作解析指標を説明変数に判別分析を行った。その結果最終的にプッシュアップストラテジは垂直型,回転型,混合型の三つに分類でき,プッシュアップ最大高は垂直型 < 混合型 < 回転型であった。垂直型と混合型間の判別ではプッシュアップ開始から最高点までの上肢屈曲角変位及び質量中心前方移動量が,混合型と回転型の判別では上肢屈曲角変位及び体幹前傾角変位がそれぞれ有意な判別指標であった。損傷高位との関係ではC6では垂直型が55%と最も多く,損傷高位が下位となるに従って回転型の比率が増加した。以上より脊髄損傷者のプッシュアップストラテジは動作解析指標により三つに分類でき,損傷高位のみでなく,身体機能の影響を受けていることが示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00001308494