脳卒中患者の糖・脂質代謝における身体活動の影響

回復期脳卒中患者における身体活動とそれに伴う血糖,血漿インスリン,血清脂質の変化について,入院中2ヶ月間で比較検討した。対象は,高次脳機能障害を有するが自立歩行可能で,特に運動療法は行われていなかった10例(歩行自立群)と,自立歩行が不可能な片麻痺患者で理学療法が施行された17例(歩行介助群)とした。歩行介助群では歩行自立群に較べて1日の活動量は低値であったが,運動機能障害に対するリハビリテーション施行後,日常生活動作の改善とともに空腹時血糖,HDLコレステロール,アポ蛋白A-1に改善傾向を認めた。これに対し,歩行自立群の活動は2ヶ月間ほぼ同様で各測定項目に変化はなかった。いくつかの改善傾向は...

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Published in理学療法学 Vol. 26; no. 5; pp. 220 - 225
Main Authors 後藤, 葉子, 上月, 正博, 佐藤, 徳太郎, 横川, 正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.07.1999
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00003131595

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Summary:回復期脳卒中患者における身体活動とそれに伴う血糖,血漿インスリン,血清脂質の変化について,入院中2ヶ月間で比較検討した。対象は,高次脳機能障害を有するが自立歩行可能で,特に運動療法は行われていなかった10例(歩行自立群)と,自立歩行が不可能な片麻痺患者で理学療法が施行された17例(歩行介助群)とした。歩行介助群では歩行自立群に較べて1日の活動量は低値であったが,運動機能障害に対するリハビリテーション施行後,日常生活動作の改善とともに空腹時血糖,HDLコレステロール,アポ蛋白A-1に改善傾向を認めた。これに対し,歩行自立群の活動は2ヶ月間ほぼ同様で各測定項目に変化はなかった。いくつかの改善傾向は歩行介助群でのみ認められたことから,身体活動が低下している場合も,運動を継続することが糖・脂質代謝異常予防に重要であると考えられた。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00003131595