腹部大動脈瘤切除・再建術後における周術期理学療法の有用性
【目的】本研究では,腹部大動脈瘤切除・再建術後の周術期の積極的な理学療法の有用性を検討した。【方法】対象は,周術期理学療法を実施した群(以下:実施群)27名と後方視的にカルテから抜粋した周術期理学療法を実施していない群(以下:非実施群)39名であった。周術期理学療法の有用性は,(1)術後合併症(呼吸器合併症,腸閉塞,譫妄),(2)術後経口開始時期,(3)術後在院日数の3項目について非実施群と比較した。実施群のうち17名においては術後身体機能(%6MWD=術後6MWD/術前6MWD×100:6MWD;6分間歩行試験から得られる距離)の回復度を評価した。【結果】呼吸器合併症は両群間で有意差を認めな...
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Published in | 理学療法学 Vol. 36; no. 1; pp. 24 - 28 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.02.2009
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00005390785 |
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Summary: | 【目的】本研究では,腹部大動脈瘤切除・再建術後の周術期の積極的な理学療法の有用性を検討した。【方法】対象は,周術期理学療法を実施した群(以下:実施群)27名と後方視的にカルテから抜粋した周術期理学療法を実施していない群(以下:非実施群)39名であった。周術期理学療法の有用性は,(1)術後合併症(呼吸器合併症,腸閉塞,譫妄),(2)術後経口開始時期,(3)術後在院日数の3項目について非実施群と比較した。実施群のうち17名においては術後身体機能(%6MWD=術後6MWD/術前6MWD×100:6MWD;6分間歩行試験から得られる距離)の回復度を評価した。【結果】呼吸器合併症は両群間で有意差を認めなかったが,腸閉塞と譫妄は実施群で有意に少なかった。術後経口開始時期は実施群で有意に早く,術後在院日数も実施群17.3±4.6日,非実施群24.6±9.0日で実施群において有意に短縮した。実施群における術後身体機能は退院時には平均92%まで回復した。【結論】周術期の積極的な理学療法により合併症を予防し,経口開始時期が早まることで身体機能の回復につながり,結果として術後在院日数の短縮に寄与したと考えられた。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00005390785 |