危機的出血への対応

出血は,死亡に至る危機的麻酔関連偶発症の半数を占めている。出血死を回避する当面の対策として,緊急輸血の普及を挙げることができる。手術室に限らず危機的出血が発生した場合には,先ずコマンダーを決定し,コマンダーが非常事態を宣言する。この宣言は救命に必要なマンパワーを召集し,手術・麻酔・輸血に関する方針の見直しを行い,緊急輸血を支援する輸血部へ確実な情報伝達を行うのに有効である。初動,緊急輸血の実現のためには,それぞれの施設の状況に見合った院内マニュアルを整備するとともに,シミュレーションと事後検証によってその稼働を確認しておく。危機的出血の最前線で活動している麻酔科医ならびに救急医は,出血死削減に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in蘇生 Vol. 28; no. 2; pp. 73 - 81
Main Author 入江, 和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 2009
The Japanese Society of Reanimatology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0288-4348
1884-748X
DOI10.11414/jjreanimatology.28.73

Cover

More Information
Summary:出血は,死亡に至る危機的麻酔関連偶発症の半数を占めている。出血死を回避する当面の対策として,緊急輸血の普及を挙げることができる。手術室に限らず危機的出血が発生した場合には,先ずコマンダーを決定し,コマンダーが非常事態を宣言する。この宣言は救命に必要なマンパワーを召集し,手術・麻酔・輸血に関する方針の見直しを行い,緊急輸血を支援する輸血部へ確実な情報伝達を行うのに有効である。初動,緊急輸血の実現のためには,それぞれの施設の状況に見合った院内マニュアルを整備するとともに,シミュレーションと事後検証によってその稼働を確認しておく。危機的出血の最前線で活動している麻酔科医ならびに救急医は,出血死削減に向けてリーダーシップを発揮する必要がある。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology.28.73