スギ花粉症に対する舌下免疫療法の小児と成人における比較調査

スギ花粉症への錠剤による舌下免疫療法は年齢制限がないが2018年5月までは液剤により施行され, 適応は12歳以上であった. 過去の報告では小児と成人における服薬アドヒアランス, 臨床効果, 副反応等の臨床的検討が十分になされていない. 過去の調査で使われたアンケート結果より臨床上重要となる小児と成人の服薬アドヒアランス, 臨床効果, 副反応等の違いについて新たに統計学的解析を行ったので報告する. 対象は2014~2018年にシダトレン® を開始し, 治療を継続中のスギ花粉症患者のべ1,017例に各年度の花粉飛散シーズン終了後にアンケートを実施. ① 調査項目を小児と成人における服薬アドヒアラン...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 5; pp. 876 - 883
Main Authors 佐藤, 輝幸, 鈴木, 貴博, 高梨, 芳崇, 小川, 由起子, 郭, 冠宏, 柴原, 義博, 稲村, 直樹, 長谷川, 純, 野口, 直哉, 沖津, 尚弘, 大井, 聖幸, 鈴木, 淳, 太田, 伸男, 東海林, 史, 中林, 成一郎, 鈴木, 直弘, 菅原, 充, 岡本, 美孝, 野村, 和弘, 田畑, 邦次, 香取, 幸夫, 湯田, 厚司, 草刈, 千賀志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.05.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.125.5_876

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Summary:スギ花粉症への錠剤による舌下免疫療法は年齢制限がないが2018年5月までは液剤により施行され, 適応は12歳以上であった. 過去の報告では小児と成人における服薬アドヒアランス, 臨床効果, 副反応等の臨床的検討が十分になされていない. 過去の調査で使われたアンケート結果より臨床上重要となる小児と成人の服薬アドヒアランス, 臨床効果, 副反応等の違いについて新たに統計学的解析を行ったので報告する. 対象は2014~2018年にシダトレン® を開始し, 治療を継続中のスギ花粉症患者のべ1,017例に各年度の花粉飛散シーズン終了後にアンケートを実施. ① 調査項目を小児と成人における服薬アドヒアランス, 舌下投与の負担感, 舌下免疫療法の効果とし, 調整項目を性別, 罹病期間として, ② 調査項目を併用薬の使用状況, 副反応, 治療全般の満足度とし, 調整項目を性別, 罹病期間, 服薬アドヒアランスとして多重ロジスティック回帰分析を施行. 結果は解析を施行した全シーズンにて小児と成人に統計学的有意差を認めない. 本研究はスギ花粉症に対する舌下免疫療法は小児においても成人と同様の効果を示すことを明らかにした. 副反応に関しては比較的軽いものではあるが, 1シーズン目に多く出現し, 特に女性に多いことが本研究から示された. 今後は治療後効果持続性の小児と成人における違いを解析することが望まれる.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.125.5_876