心筋梗塞患者における糖尿病合併が運動時心血管反応に及ぼす影響
本研究の目的は,運動負荷試験による呼気ガス分析から運動負荷中の心血行動態を推定し,運動時心血管反応を最高酸素摂取量(peakVO2)が同等の糖尿病(DM)合併と非合併の心筋梗塞(MI)患者において比較検討することである。対象はMI患者120例である。60例(DM群)はDM(非インスリン依存性)合併MI例で年齢,最高酸素摂取量,body mass index(BMI),心筋逸脱酵素(CK-MB値)および左室駆出分画(EF)を対応させたDM非合併MI例60例(non-DM群)を対照とした。これらの症例にMI発症1か月時点で心肺運動負荷試験を試行した。嫌気性代謝閾値(AT)時の酸素摂取量(VO2),...
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          | Published in | 理学療法学 Vol. 27; no. 3; pp. 69 - 74 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本理学療法士学会
    
        31.05.2000
     日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy  | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0289-3770 2189-602X  | 
| DOI | 10.15063/rigaku.KJ00001308525 | 
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| Summary: | 本研究の目的は,運動負荷試験による呼気ガス分析から運動負荷中の心血行動態を推定し,運動時心血管反応を最高酸素摂取量(peakVO2)が同等の糖尿病(DM)合併と非合併の心筋梗塞(MI)患者において比較検討することである。対象はMI患者120例である。60例(DM群)はDM(非インスリン依存性)合併MI例で年齢,最高酸素摂取量,body mass index(BMI),心筋逸脱酵素(CK-MB値)および左室駆出分画(EF)を対応させたDM非合併MI例60例(non-DM群)を対照とした。これらの症例にMI発症1か月時点で心肺運動負荷試験を試行した。嫌気性代謝閾値(AT)時の酸素摂取量(VO2),酸素脈(O2pulse),呼吸代償開始点(RC)時における肺動脈楔入圧を反映する1回換気量(TV)と心拍出予備能を反映するとされる呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2),換気効率の指標としてVE/VCO2および運動時心拍反応の指標として運動時間に対するHRの増加度(HR slope)を求めた。結果は,安静時心拍数,O2pulse,EFは2群間で有意差はなかった。しかし,DM群はnon-DM群に比し,AT時VO2,O2pulse,RC時TV,ETCO2およびHR slopeは有意に低値,VE/VCO2は有意に高値を示した。DM群におけるヘモグロビンA1c(HbA1c)とAT,peak VO2には関連を認めなかった。これらの結果は,DM合併MI例は非合併例に比し,安静時心機能,peak VO2は同等でも運動時の心拍出予備能は低く,肺動脈楔入圧は高くなることが推定された。また,血糖コントロールが極めて不良ではない限りHbA1cと運動耐容能との関係はないことが示唆された。 | 
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| ISSN: | 0289-3770 2189-602X  | 
| DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00001308525 |