前十字靭帯損傷者の歩行立脚期における膝関節モーメントと膝関節筋力との関係について
本研究では前十字靭帯(以下ACL)損傷者9例(男性6例,女性3例,平均年齢25.5歳)に対し,歩行中における患肢立脚初期膝伸展モーメントピーク値と損傷膝関節筋力との相関性を探ることを主目的に調査を行った。その結果,立脚初期膝伸展モーメントピーク値は平均膝屈曲23.2°で出現し,端坐位での遠心性等速筋力測定(60°/sec)における膝屈曲50°付近の膝伸展筋力/膝屈曲筋力(以下,Q/H比)と有意な相関を示した。これより,ACL損傷者における立脚初期膝伸展モーメントは,遠心性Q/H比の影響を受ける可能性が示唆された。また,立脚初期膝伸展モーメントと遠心性Q/H比双方が,極端に低い症例が9例中2例に...
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Published in | 理学療法学 Vol. 25; no. 2; pp. 61 - 66 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
31.03.1998
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00001305232 |
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Summary: | 本研究では前十字靭帯(以下ACL)損傷者9例(男性6例,女性3例,平均年齢25.5歳)に対し,歩行中における患肢立脚初期膝伸展モーメントピーク値と損傷膝関節筋力との相関性を探ることを主目的に調査を行った。その結果,立脚初期膝伸展モーメントピーク値は平均膝屈曲23.2°で出現し,端坐位での遠心性等速筋力測定(60°/sec)における膝屈曲50°付近の膝伸展筋力/膝屈曲筋力(以下,Q/H比)と有意な相関を示した。これより,ACL損傷者における立脚初期膝伸展モーメントは,遠心性Q/H比の影響を受ける可能性が示唆された。また,立脚初期膝伸展モーメントと遠心性Q/H比双方が,極端に低い症例が9例中2例に見られた。これらの症例では膝屈曲50°付近の遠心性Q/H比が1.5以下を示し,筋力測定からQuadriceps-Avoidance-Gaitの疑われる症例を予測し得る可能性も示唆された。立脚初期膝伸展モーメントピーク値と遠心性Q/H比との膝角度解離については,膝屈伸筋の一部が2関節筋であり,歩行中と端坐位の測定姿位が異なることにより影響を受けているものと推察された。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00001305232 |