高齢者の脊柱形態と静止立位中の体節別および全身重心動揺との関係

「1. 緒言」 人類は直立位で二足歩行を獲得し, より重力に抗する努力が必要となった. 坐位や立位といった抗重力位の姿勢を獲得する成長過程で, ヒトの脊椎は矢状面上において頸椎の前彎, 胸椎の後彎, 腰椎の前彎を形成し, 骨盤は軽度前傾位を呈する. 高齢者の立位姿勢では, 抗重力筋の筋力低下や脊柱支持組織の加齢変化により, 胸椎部を主体とした脊柱全体の後彎変形やその代償としての骨盤後傾位といった姿勢のアライメント変化を生じることが多い1). また, ヒトの立位姿勢において, 静止立位を保持している際にも身体は微少に動揺している. この微小な身体動揺は各体節の配列を変えて, 空間に位置する身体重...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 19; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 竹内, 弥彦, 大谷, 拓哉, 雄賀多, 聡, 下村, 義弘, 三和, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.02.2014
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.19.1_1

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Summary:「1. 緒言」 人類は直立位で二足歩行を獲得し, より重力に抗する努力が必要となった. 坐位や立位といった抗重力位の姿勢を獲得する成長過程で, ヒトの脊椎は矢状面上において頸椎の前彎, 胸椎の後彎, 腰椎の前彎を形成し, 骨盤は軽度前傾位を呈する. 高齢者の立位姿勢では, 抗重力筋の筋力低下や脊柱支持組織の加齢変化により, 胸椎部を主体とした脊柱全体の後彎変形やその代償としての骨盤後傾位といった姿勢のアライメント変化を生じることが多い1). また, ヒトの立位姿勢において, 静止立位を保持している際にも身体は微少に動揺している. この微小な身体動揺は各体節の配列を変えて, 空間に位置する身体重心の投射軸を両足底部で構成される支持基底面内に保つための制御能力を反映していると考えられている2). 加えて, 加齢による立位姿勢制御能力の低下は, 高齢者の転倒頻発における内的要因の一つと考えられる.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.19.1_1