一定負荷運動時の心拍ドリフトと活動肢における深部温および血液量との関係

「1. 緒言」運動中の心拍数(Heart rate: HR)は, 運動負荷が一定中強度以下であったとしても, 徐々に上昇していく. この現象は, 心拍ドリフト(HR drift)と呼ばれ, 1960年代からEkelundらを中心に研究されてきた1-3). HR driftは, 常温環境下より暑熱環境下で発生しやすい4)ことから, 体温調節機能とも協関した一種の環境適応と考えられる. HR drift発生時には心拍出量の変化が観察されないことから, 一回拍出量(Stroke volume: SV)の減少がHR driftの原因であると考えられている2). このSVが減少する機構について, Row...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 17; no. 2; pp. 49 - 56
Main Authors 山中, 亮, 連, 長順, 柚木, 孝敬, 有光, 琢磨, アフルンデ, ロガイエ, 矢野, 徳郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.05.2012
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.17.2_49

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Summary:「1. 緒言」運動中の心拍数(Heart rate: HR)は, 運動負荷が一定中強度以下であったとしても, 徐々に上昇していく. この現象は, 心拍ドリフト(HR drift)と呼ばれ, 1960年代からEkelundらを中心に研究されてきた1-3). HR driftは, 常温環境下より暑熱環境下で発生しやすい4)ことから, 体温調節機能とも協関した一種の環境適応と考えられる. HR drift発生時には心拍出量の変化が観察されないことから, 一回拍出量(Stroke volume: SV)の減少がHR driftの原因であると考えられている2). このSVが減少する機構について, Rowellら5)は皮膚血流量(Skin blood flow: SBF)の測定データに基づき, 体温上昇に伴う皮膚血液貯留量の増加が静脈還流量を低下させることによってSVの減少を引き起こすとする仮説を提案した. しかしながらNoseら6)7)は, 運動(=最大酸素摂取量(VO2max)の60%強度)開始25分以降において, SBFが定常状態を示したにも関わらず, HRは上昇し続けたことを報告した.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.17.2_49