ヘルスプロモーションをベースとする成人歯科保健管理プログラムの評価 : 8年間の成人歯科保健管理プログラムの実践

歯科診療所において,ヘルスプロモーションの概念に基づいた成人対象の口腔保健管理プログラムを実践し,その効果を評価した.対象は初診年齢が30歳代の成人で,3カ月ごとに行う定期的な管理を8年以上にわたって受診した53名である.プログラムは,う蝕および歯周疾患の診査と,歯科保健教育,歯磨き指導,歯石除去,PMTC(Professional mechanical tooth cleaning),フッ化物歯面塗布からなっている.8年間で新生う蝕が80歯認められた.喪失歯は4本で,原因は咬合性外傷,歯根破折であった.平均DMFTは13.0から14.5へと,1.5の増加が認められた.初診時,48.5%あった...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 53; no. 5; pp. 564 - 573
Main Authors 山本, 和宏, 松尾, 健, 筒井, 昭仁, 何, 陽介, 中村, 譲治, 松岡, 奈保子, 中村, 清徳, 藤好, 末陶, 福光, 保之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2003
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.53.5_564

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Summary:歯科診療所において,ヘルスプロモーションの概念に基づいた成人対象の口腔保健管理プログラムを実践し,その効果を評価した.対象は初診年齢が30歳代の成人で,3カ月ごとに行う定期的な管理を8年以上にわたって受診した53名である.プログラムは,う蝕および歯周疾患の診査と,歯科保健教育,歯磨き指導,歯石除去,PMTC(Professional mechanical tooth cleaning),フッ化物歯面塗布からなっている.8年間で新生う蝕が80歯認められた.喪失歯は4本で,原因は咬合性外傷,歯根破折であった.平均DMFTは13.0から14.5へと,1.5の増加が認められた.初診時,48.5%あったBOP(Bleeding on probing)は,3年目以降20〜25%で安定していた.35〜39歳の初診時CPIコードを5年管理後の同年齢のそれと比較したところ,CPIコード3,4を示すものが61.5%から19.2%へと減少し,コード0〜2が38.5%から80.7%へと増加していた(p<0.01).8年後の歯周の状態を歯単位で評価したところ,大部分がCPIコード:Oの良好な状態に保たれていた.プログラムからの脱落者は10%未満であり,来院者からも有用性が理解され,受け入れられやすいものであったと考えた.結果は,この3カ月ごとの成人を対象とした口腔保健管理プログラムが,良好な歯周状態の保持,歯の喪失防止に効果的であることを示していた.また,8020を目標とするかかりつけ歯科医の機能充実としても有用であることが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.53.5_564