地域高齢者の咀嚼力スケールの開発 信頼性・妥当性の検討

目的:介護予防教室や地域の集まりに参加している高齢者を対象に,噛む力とそれに影響を与える行動を含む咀嚼力スケールを開発することを目的とした.方法:この横断研究では,東京都A区の老人クラブと老人福祉センター利用者1,153名を対象に自己記入式質問紙を配布し,有効回答を得た897名の回答を解析した.咀嚼力の項目内のいずれとも相関を示さない項目を削除した後,信頼性係数(クロンバックα係数)が0.7を超えるまで項目を削除し因子分析を行った.基準関連妥当性は,健康,ADL,QOLとの関連にて検討した.老人福祉センターで別集団にアンケートを実施し,元のデータと比較した.結果:14項目のうちどの項目とも相関...

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Published in日本健康教育学会誌 Vol. 26; no. 4; pp. 342 - 352
Main Authors 工藤, 恵子, 宮城, 重二, 猪股, 久美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本健康教育学会 30.11.2018
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ISSN1340-2560
1884-5053
DOI10.11260/kenkokyoiku.26.342

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Summary:目的:介護予防教室や地域の集まりに参加している高齢者を対象に,噛む力とそれに影響を与える行動を含む咀嚼力スケールを開発することを目的とした.方法:この横断研究では,東京都A区の老人クラブと老人福祉センター利用者1,153名を対象に自己記入式質問紙を配布し,有効回答を得た897名の回答を解析した.咀嚼力の項目内のいずれとも相関を示さない項目を削除した後,信頼性係数(クロンバックα係数)が0.7を超えるまで項目を削除し因子分析を行った.基準関連妥当性は,健康,ADL,QOLとの関連にて検討した.老人福祉センターで別集団にアンケートを実施し,元のデータと比較した.結果:14項目のうちどの項目とも相関を示さなかった3項目を削除した.信頼性係数が0.7を超えるまで1項目ずつ削除し,咀嚼力スケールの項目として8項目を設定した.因子分析の結果,「咀嚼状況」関連因子,「歯」関連因子,「口腔保健行動」関連因子が抽出・命名された.咀嚼力スケールの総得点,下位尺度の因子得点は健康,ADL,QOLと有意な相関があった.咀嚼力は,健康,ADL,QOLとの関連性があると先行研究にて示されていることから,基準関連妥当性を確認した.別集団の咀嚼力スケールの総得点と因子得点を比較したところ差がみられず,外的妥当性も確認した.結論:開発した咀嚼力スケールは,噛む力とそれに影響を与える行動を含んだ多面的で簡便なスケールとなった.信頼性と妥当性も確認された.
ISSN:1340-2560
1884-5053
DOI:10.11260/kenkokyoiku.26.342