健常男子学生の側方模擬転倒における防御動作パターンとその役割

65歳以上の高齢者の1/3から1/2は1年間に少なくとも1度は転倒するといわれている1). 転倒は高齢者の大腿骨頚部骨折の原因の75%~90%を占める2)3)4). また, 大腿骨頚部骨折の危険度は, 側方への転倒が他の方向への転倒に比べ20倍も大きく3), 股関節に近い部位から着地する場合が特に危険度が大きい5). 大腿骨頚部骨折の治療では高齢者への身体的負担が大きいために, 場合によっては寝たきりとなるリスクが高く, 骨折の予防が重要である6). 一方, 生体力学的観点からすると立位からの転倒による衝撃力は高齢者の大腿骨の強度を超える7)にもかかわらず, 実際に高齢者が転倒したとき大腿骨頚...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 8; no. 4; pp. 225 - 230
Main Authors 齊藤, 展士, 坪, 亜希子, 浅賀, 忠義, 久留利, 浩代, 笠原, 敏史, 井上, 馨, 渡辺, 明日香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2003
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.8.4_225

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Summary:65歳以上の高齢者の1/3から1/2は1年間に少なくとも1度は転倒するといわれている1). 転倒は高齢者の大腿骨頚部骨折の原因の75%~90%を占める2)3)4). また, 大腿骨頚部骨折の危険度は, 側方への転倒が他の方向への転倒に比べ20倍も大きく3), 股関節に近い部位から着地する場合が特に危険度が大きい5). 大腿骨頚部骨折の治療では高齢者への身体的負担が大きいために, 場合によっては寝たきりとなるリスクが高く, 骨折の予防が重要である6). 一方, 生体力学的観点からすると立位からの転倒による衝撃力は高齢者の大腿骨の強度を超える7)にもかかわらず, 実際に高齢者が転倒したとき大腿骨頚部を骨折する割合は1~2%とみられている8). この時, 骨折を少なくしている一つの要因は, 転倒時の衝撃力を小さくするような防御動作であると言われている9)1)14). 防御動作として考えられているのは(1)力を抜く, (2)体を丸くする, (3)手を先に着きブレーキの役目をする, (4)上体を起こす, (5)体を回旋させる, などであるが, これらの防御動作を実際に観察した研究は少ない.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.8.4_225