小児の体水分の代謝回転

I. 緒言 人の体水分は, 体構成成分のうち最も多い. さらに, 子どもでは成人と比べて, LBMに占める体水分の割合が高く, 従って体重当たりに占める水の割合も高い1). この体水分は化学反応の場を提供し, 栄養物や酸の運搬, 老廃物の排泄, 体温調節など, 生命活動において極めて重要な役割を担っている. 体水分の僅かな減少でも健康上の障害をきたすことから2), 体水分のhomeostasisは, 健康にとって極めて重要である3, 4). 日常生活における水分の出納バランスは, 飲水, 食事中の水分, 代謝水の生成によって体水分が確保され, 皮膚および肺からの不感蒸泄, 発汗, 糞, 尿によ...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 9; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 小宮, 秀一, 島本, 英樹, 増田, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2004
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.9.1_23

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Summary:I. 緒言 人の体水分は, 体構成成分のうち最も多い. さらに, 子どもでは成人と比べて, LBMに占める体水分の割合が高く, 従って体重当たりに占める水の割合も高い1). この体水分は化学反応の場を提供し, 栄養物や酸の運搬, 老廃物の排泄, 体温調節など, 生命活動において極めて重要な役割を担っている. 体水分の僅かな減少でも健康上の障害をきたすことから2), 体水分のhomeostasisは, 健康にとって極めて重要である3, 4). 日常生活における水分の出納バランスは, 飲水, 食事中の水分, 代謝水の生成によって体水分が確保され, 皮膚および肺からの不感蒸泄, 発汗, 糞, 尿による排泄によって, 正常な範囲に保たれている. 日常生活のなかで水分出納バランスを正確に測定することは, 非常に難しい5). 実験室的手法をもちいなければ, 不感蒸泄量や発汗量を定量するのが極めて困難であるのは言うまでもない. 記録紙を用いた水分摂取量の測定を例にしても, 長期期間の測定では記録を容易にするために水分摂取のパターンを変えたり, 記録から除外してしまうなど, 過少評価されることが指摘されている6).
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.9.1_23