羞明と脳

羞明の誘因には,明るさ,グレア,光沢感という似ているが異なる局面がある.また,これらを横断的に理解する切り口として視覚のダイナミックレンジがある.羞明を訴える脳内疾患に着目すると片頭痛患者に多いが,その局所診断は困難で,これまでの症例からは,視交叉近傍,視床枕,後頭葉底部が関連しているようである.健常者の脳活動を調べた研究では,漠然と羞明の有無で比較すると視覚野全体の反応性上昇をみとめる.しかし,光沢感に関連する大脳領野は,後頭葉底部にみられる.視覚のダイナミックレンジの病態には,それ自体を縮小するタイプと,そのシフトが阻害されるタイプがあり,そのそれぞれで羞明をきたす可能性がある.これらのど...

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Published inNeuro-Ophthalmology Japan Vol. 33; no. 4; pp. 344 - 350
Main Author 仲泊, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.12.2016
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.33.344

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Summary:羞明の誘因には,明るさ,グレア,光沢感という似ているが異なる局面がある.また,これらを横断的に理解する切り口として視覚のダイナミックレンジがある.羞明を訴える脳内疾患に着目すると片頭痛患者に多いが,その局所診断は困難で,これまでの症例からは,視交叉近傍,視床枕,後頭葉底部が関連しているようである.健常者の脳活動を調べた研究では,漠然と羞明の有無で比較すると視覚野全体の反応性上昇をみとめる.しかし,光沢感に関連する大脳領野は,後頭葉底部にみられる.視覚のダイナミックレンジの病態には,それ自体を縮小するタイプと,そのシフトが阻害されるタイプがあり,そのそれぞれで羞明をきたす可能性がある.これらのどこまでが網膜内で情報処理され,どこからかが脳内で行われるのかは未だに不明である.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.33.344