神経眼科学 Leber遺伝性視神経症
レーベル遺伝性視神経症(Leber’s hereditary optic neuropathy: LHON)は主として10代から20代にかけて,両眼性に急性あるいは亜急性の視力低下をきたし,通常1年以内に高度の視神経萎縮に至る予後不良の遺伝性疾患である.現在までに酸化的リン酸化酵素群を構成する蛋白をコードするミトコンドリアDNAのおもに3460,11778,14484番塩基の点変異が発症原因である.一般にミトコンドリアの機能低下は多種多様な臨床症状を呈し得るが,LHONでは網膜・視神経にほぼ限局した病態を示す.神経学的所見では急性または亜急性で両眼性,無痛性の視力低下と中心暗点の拡大を認める....
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Published in | Neuro-Ophthalmology Japan Vol. 34; no. 2; pp. 190 - 195 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
25.06.2017
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society |
Subjects | |
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ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
DOI | 10.11476/shinkeiganka.34.190 |
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Summary: | レーベル遺伝性視神経症(Leber’s hereditary optic neuropathy: LHON)は主として10代から20代にかけて,両眼性に急性あるいは亜急性の視力低下をきたし,通常1年以内に高度の視神経萎縮に至る予後不良の遺伝性疾患である.現在までに酸化的リン酸化酵素群を構成する蛋白をコードするミトコンドリアDNAのおもに3460,11778,14484番塩基の点変異が発症原因である.一般にミトコンドリアの機能低下は多種多様な臨床症状を呈し得るが,LHONでは網膜・視神経にほぼ限局した病態を示す.神経学的所見では急性または亜急性で両眼性,無痛性の視力低下と中心暗点の拡大を認める.視力や視野障害と比較し軽度の相対的瞳孔求心路障害を認める.後天性の片側または両眼性の色覚異常や発症時に視神経乳頭の発赤浮腫を認める.脳MRI検査などの画像検査では,通常は視神経内に炎症を示唆する高信号はみられない.LHONの特徴的な神経眼科的所見は選択的な網膜神経節細胞障害と関連すると考えられている.副腎皮質ステロイドは無効であり,酸化的リン酸化過程に関与するコエンザイムQ10誘導体の早期投与や.免疫抑制薬,遺伝子治療,幹細胞治療などが研究されている. |
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ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.34.190 |