拮抗する2つの筋肉を考慮した前腕の生理的振戦について

生理的振戦や病理的振戦に関しては, 優れた多くの報告がある1-11). これらの報告は, 二つに大別して考えることができる. 一つは生理的振戦や病理的振戦の詳細な観察とそれに基づく振戦の原因の考察に関する報告であり1-4), 他の一つはこれらの観察や考察を基礎とする筋肉の動きや振戦の数理モデルに関する報告である5-11). 但し, 現在までに提案されている数理モデルは局所的な筋肉の動きや振戦を記述する段階にとどまり, 上肢, 下肢のように身体の大きな部分の振戦を記述する微分方程式のような数理モデルの提案はない. 文献4)では筋電図の解析から, パーキンソン病患者の70%, 本態性振戦患者の90...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本生理人類学会誌 Vol. 7; no. 4; pp. 195 - 204
Main Authors 半戸, 志麻, 岡田, 清, 福本, 一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2002
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.7.4_195

Cover

More Information
Summary:生理的振戦や病理的振戦に関しては, 優れた多くの報告がある1-11). これらの報告は, 二つに大別して考えることができる. 一つは生理的振戦や病理的振戦の詳細な観察とそれに基づく振戦の原因の考察に関する報告であり1-4), 他の一つはこれらの観察や考察を基礎とする筋肉の動きや振戦の数理モデルに関する報告である5-11). 但し, 現在までに提案されている数理モデルは局所的な筋肉の動きや振戦を記述する段階にとどまり, 上肢, 下肢のように身体の大きな部分の振戦を記述する微分方程式のような数理モデルの提案はない. 文献4)では筋電図の解析から, パーキンソン病患者の70%, 本態性振戦患者の90%に, 同じ腕や足の異なる筋肉の間の有意なコヒーレンスが存在するとしている. 一方, 同じ腕や足の異なる筋肉を考慮した数理モデルとして, 文献5), 6)では, 拮抗する2つの筋肉を考慮した線形モデルが検討されている.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.7.4_195