気晴らしを中心とした認知行動療法の効果 : うつ病を対象とした無作為化比較試験

気晴らしという個人の注意・関心をほかに向けることによって、抑うつ気分をコントロールする方法が研究されているが、その効果については一致した見解は得られていない。そこで本研究の目的は、うつ病と診断された精神科診療所の通院者を対象に、気晴らしを中心とした認知行動療法(CBT)と通常診療を実施することによってネガティヴな反すう思考や抑うつ気分に変化が見られるかを検証する。方法は、大うつ病性障害の患者40名を2群に無作為に割り付け、積極的な気晴らしの実行が推奨されたCBT/Distraction群(n=20)と、傾聴を主とした精神療法/Control群(n=20)の比較検討が行われた。2要因混合分散分析...

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Bibliographic Details
Published in行動療法研究 Vol. 39; no. 1; pp. 13 - 22
Main Authors 田中, 輝美, 銅島, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 31.01.2013
日本行動療法学会
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.39.1_13

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Summary:気晴らしという個人の注意・関心をほかに向けることによって、抑うつ気分をコントロールする方法が研究されているが、その効果については一致した見解は得られていない。そこで本研究の目的は、うつ病と診断された精神科診療所の通院者を対象に、気晴らしを中心とした認知行動療法(CBT)と通常診療を実施することによってネガティヴな反すう思考や抑うつ気分に変化が見られるかを検証する。方法は、大うつ病性障害の患者40名を2群に無作為に割り付け、積極的な気晴らしの実行が推奨されたCBT/Distraction群(n=20)と、傾聴を主とした精神療法/Control群(n=20)の比較検討が行われた。2要因混合分散分析の結果、交互作用が有意となり、Distraction群の時差における単純主効果が有意となった。よって気晴らしを中心としたCBTによって、ネガティヴな反すう思考と、抑うつ気分が軽減したことが示された。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.39.1_13