任意参加方式の職域歯科保健活動への参加者と不参加者における口腔内状態および保健行動の比較

職域における歯科保健活動は任意参加方式で実施されている場合が多く,参加者は口腔の健康に関心が高い可能性が指摘されている.本研究は職域で行われる歯科医師による口腔内診査と歯科衛生士による保健指導(以下,歯科保健プログラム)への不参加者群の特徴を参加者群と比較し明らかにすることを目的に行った.  対象は某企業における2002年の歯科保健プログラム参加者3,142名である.某企業では歯科保健プログラムを1986年から2001年まで任意参加方式で実施し,2002年からは全員参加方式で実施した.2002年に実施した質問紙調査で任意参加方式時の参加経験の有無により「不参加者群」と「参加者群」に分類し,性・...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 63; no. 3; pp. 238 - 248
Main Authors 市橋, 透, 高田, 康二, 西埜植, 規秀, 武藤, 孝司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.04.2013
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.63.3_238

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Summary:職域における歯科保健活動は任意参加方式で実施されている場合が多く,参加者は口腔の健康に関心が高い可能性が指摘されている.本研究は職域で行われる歯科医師による口腔内診査と歯科衛生士による保健指導(以下,歯科保健プログラム)への不参加者群の特徴を参加者群と比較し明らかにすることを目的に行った.  対象は某企業における2002年の歯科保健プログラム参加者3,142名である.某企業では歯科保健プログラムを1986年から2001年まで任意参加方式で実施し,2002年からは全員参加方式で実施した.2002年に実施した質問紙調査で任意参加方式時の参加経験の有無により「不参加者群」と「参加者群」に分類し,性・年齢階級別に2002年の口腔内状態や保健行動を比較した.  その結果,不参加者群では参加者群に比較して未処置歯数と喪失歯数が多い傾向がみられ,歯周組織の状態(CPIセクスタント数)の比較でも不参加者群ではコード0,1が少なく,コード3,4が多い傾向がみられた.保健行動においても不参加者群では昼食後の歯みがき習慣のない者などが多く,ブレスローの健康習慣では実行数が少ない傾向にあった.歯科保健プログラムへの参加に影響する要因を多重ロジスティック回帰分析で解析したところ,性別や年齢階級にかかわらず職種の影響が最も大きく,研究職で任意参加時に参加する者が多かった.  これらの結果から,歯科保健プログラムを任意参加で実施した場合,保健指導や受療勧告が必要な不参加者群への指導の機会を逃す危険性が高いことが示された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.63.3_238