運動リズム急変と呼吸規制が生体反応に及ぼす影響
運動中の呼吸リズムは, 特に運動のリズムと負荷急変の影響を受けやすい. 我々は, 一定リズムの定常運動中に, 呼吸数のみを制限した場合1)や, 運動リズム(負荷一定)のみを急変させた場合2)の呼吸・循環応答に及ぼすそれらの影響について検討し, 以下の結果を認め報告した. 1. 自然呼吸数の1/2以下の呼吸数に制限した時に, 一回換気量(V_T )の増加不足による換気効率の低下がみられること1). 2. 運動リズムの急変時に, 呼吸数が顕著に増加し, 換気効率の低下や心拍数の増加が生じること2). また, Mahlerら3)はローイング中の運動リズムと呼吸リズムの同調時に, 至適なパワーの出現を...
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          | Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 3; no. 4; pp. 137 - 148 | 
|---|---|
| Main Authors | , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本生理人類学会
    
        1998
     Japan Society of Physiological Anthropology  | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1342-3215 2432-0986  | 
| DOI | 10.20718/jjpa.3.4_137 | 
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| Summary: | 運動中の呼吸リズムは, 特に運動のリズムと負荷急変の影響を受けやすい. 我々は, 一定リズムの定常運動中に, 呼吸数のみを制限した場合1)や, 運動リズム(負荷一定)のみを急変させた場合2)の呼吸・循環応答に及ぼすそれらの影響について検討し, 以下の結果を認め報告した. 1. 自然呼吸数の1/2以下の呼吸数に制限した時に, 一回換気量(V_T )の増加不足による換気効率の低下がみられること1). 2. 運動リズムの急変時に, 呼吸数が顕著に増加し, 換気効率の低下や心拍数の増加が生じること2). また, Mahlerら3)はローイング中の運動リズムと呼吸リズムの同調時に, 至適なパワーの出現を認めている. さらに, Garlandoら4)は自転車運動中の運動リズムと呼吸リズムの同調時に, 心拍数の低下を認めている. 以上の報告は, 換気効率が低下しない範囲で運動中の呼吸数を制限したり, 運動リズムと呼吸リズムを同調させることで, 運動リズム急変時の生体に対する影響を軽減できる可能性を示唆するものである. これらのことから, 運動リズム急変時の生体負担度が, 呼吸リズムの規制によって変化するのであれば, 種々のスポーツ実施時にみられる運動リズム急変に伴うパフォーマンスの低下を呼吸の調節によって軽減させることが可能になると考えられる. しかしながら, 運動リズム急変と呼吸リズム規制の影響を同時にみた場合の報告は, まだ十分になされていない. | 
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| ISSN: | 1342-3215 2432-0986  | 
| DOI: | 10.20718/jjpa.3.4_137 |