加温カフェインによる洗口が健常者の口腔内細菌叢に及ぼす影響

カフェインは,コーヒー,紅茶,緑茶および烏龍茶などの飲料に含まれるよく知られた成分の一つである.それらの成分は加温して飲まれることが多い.われわれのこれまでのin vitroでの試験において,そのような加温されたカフェイン液(HC)が,短時間で,口腔常在細菌種と比較して多くの誤嚥性肺炎起因菌種の生存率を低下させ,口腔細菌叢を改善する可能性が示された.そこで,HCが実際に口腔細菌叢に影響を及ぼすかどうかを調べるため,健常者を被験者として単群のブラインド化されない介入試験を実施した.この結果,水による洗口では,介入前後で嫌気性細菌の割合が増加傾向を示した.このとき,Prevotella属割合も増加...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 23 - 32
Main Author 大川, 勝正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2012
日本口腔衛生学会
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.62.1_23

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Summary:カフェインは,コーヒー,紅茶,緑茶および烏龍茶などの飲料に含まれるよく知られた成分の一つである.それらの成分は加温して飲まれることが多い.われわれのこれまでのin vitroでの試験において,そのような加温されたカフェイン液(HC)が,短時間で,口腔常在細菌種と比較して多くの誤嚥性肺炎起因菌種の生存率を低下させ,口腔細菌叢を改善する可能性が示された.そこで,HCが実際に口腔細菌叢に影響を及ぼすかどうかを調べるため,健常者を被験者として単群のブラインド化されない介入試験を実施した.この結果,水による洗口では,介入前後で嫌気性細菌の割合が増加傾向を示した.このとき,Prevotella属割合も増加しており,増加した嫌気性細菌にはPrevotella属が含まれるものと推察した.なお,HCによる洗口では,そのような増加は認められなかった.HCは介入前後で嫌気性連鎖球菌の数および割合が有意に増加傾向を示し,連鎖球菌以外の嫌気性細菌の減少の可能性が示唆された.しかし,嫌気性細菌のFusobacterium属およびPrevotella属の割合は,増加傾向であった.これらの結果から,HCは洗口直後の口腔内の細菌の状態に変化を及ぼすものと推察された.また,HC洗口後の好気性細菌数では,洗口前と比較して増加する被験者が多くおり,バイオフイルムの剥離を促している可能性が示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.62.1_23