「ドライマウス手帳」の作成とその改善点に関する調査

口腔乾燥症の診療では唾液分泌量を測定するが,その結果を記録するツールはほとんど見当たらない.また,他疾患の治療のための薬剤追加やストレスの原因となるイベント事象などは,唾液分泌量や乾燥感に大きな影響を与えるが,それらを記録するツールもない.したがって,症状の記録,患者-医療従事者間の情報共有,診療科間の情報共有,患者への情報提供,の4つを目的とした「ドライマウス手帳」を作成し,2012年4月に発行した.その後,医療従事者に対して,手帳のデザインや内容に関する無記名の質問紙調査を行った.  質問紙調査の結果,手帳の大きさ,厚さ,文字の大きさ,唾液分泌量や症状の記入欄の大きさ,豆知識の情報量につい...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 63; no. 4; pp. 337 - 343
Main Authors 佐々木, 綾子, 山田, 亜紀, 濃野, 要, 伊藤, 加代子, 船山, さおり, 勝良, 剛詞, 金子, 昇, 井上, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 30.07.2013
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.63.4_337

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Summary:口腔乾燥症の診療では唾液分泌量を測定するが,その結果を記録するツールはほとんど見当たらない.また,他疾患の治療のための薬剤追加やストレスの原因となるイベント事象などは,唾液分泌量や乾燥感に大きな影響を与えるが,それらを記録するツールもない.したがって,症状の記録,患者-医療従事者間の情報共有,診療科間の情報共有,患者への情報提供,の4つを目的とした「ドライマウス手帳」を作成し,2012年4月に発行した.その後,医療従事者に対して,手帳のデザインや内容に関する無記名の質問紙調査を行った.  質問紙調査の結果,手帳の大きさ,厚さ,文字の大きさ,唾液分泌量や症状の記入欄の大きさ,豆知識の情報量について「ちょうどよい」と回答した者はいずれも過半数を占めていた.改善点として挙げられたのは,常用薬剤の記入欄,症状のある部分を記入できる口腔内の図の掲載や,舌痛症や灼熱感などに関する情報提供などであったため,今後,手帳を改訂する際に検討したい.将来的には,口腔乾燥症と診断された患者すべてにドライマウス手帳を配布することで,患者?医療従事者間,医療従事者-医療従事者間の情報共有,患者自身の症状把握が進み,口腔乾燥症の診療の一助となればと考えている.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.63.4_337