Fontan循環患者の側弯症手術において覚醒遅延を起こした症例の麻酔経験
Fontan循環患者の側弯症手術において覚醒遅延を経験した。術前に肝線維化マーカーの軽度上昇を認めたが,肝酵素の上昇はなかった。手術は腹臥位で行われ,中心静脈圧10~13 mHgで循環動態の変動はなく,尿量も保たれた。しかし,覚醒遅延が生じ,術後に肝障害を認めたことから,その原因に薬物代謝遅延が関与したと考えられた。本症例はFontan術後遠隔期であり,Fontan関連肝疾患(Fontan associated liver disease: FALD)の合併が疑われ,潜在性肝障害と肝動脈血流優位の肝循環が術後肝障害の発生要因であると思われた。Fontan術後遠隔期患者の非心臓手術では,慎重な術...
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Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 25; no. 1; pp. 67 - 70 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
01.08.2021
日本心臓血管麻酔学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2020-2-012 |
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Summary: | Fontan循環患者の側弯症手術において覚醒遅延を経験した。術前に肝線維化マーカーの軽度上昇を認めたが,肝酵素の上昇はなかった。手術は腹臥位で行われ,中心静脈圧10~13 mHgで循環動態の変動はなく,尿量も保たれた。しかし,覚醒遅延が生じ,術後に肝障害を認めたことから,その原因に薬物代謝遅延が関与したと考えられた。本症例はFontan術後遠隔期であり,Fontan関連肝疾患(Fontan associated liver disease: FALD)の合併が疑われ,潜在性肝障害と肝動脈血流優位の肝循環が術後肝障害の発生要因であると思われた。Fontan術後遠隔期患者の非心臓手術では,慎重な術前肝機能評価とFALDの肝循環を考慮した麻酔・循環管理が求められる。 |
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ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2020-2-012 |