脳梗塞の既往と残存歯およびその咬合状態との関連性
目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検討したものはほとんどない. 本研究では心臓血管疾患の既往と, 残存歯の健康状態ならびに咬合接触との関係を明らかにすることを目的として, 大学病院の内科と歯科の両方を受診している患者の歯科および内科の診療記録を分析した. 対象と方法 : 北海道医療大学病院の内科と歯科を受診しており, 血液検査・歯周組織検査ずみの93名を対象とした. 対象者は脳梗塞および虚血性心疾患既往の有無で分類後, 診査または検査項目の種類に応じてPearsonのカイ二乗検定,...
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| Published in | The Japanese Journal of Conservative Dentistry Vol. 59; no. 5; pp. 432 - 443 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2016
日本歯科保存学会 The Japanese Society of Conservative Dentistry |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
| DOI | 10.11471/shikahozon.59.432 |
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| Abstract | 目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検討したものはほとんどない. 本研究では心臓血管疾患の既往と, 残存歯の健康状態ならびに咬合接触との関係を明らかにすることを目的として, 大学病院の内科と歯科の両方を受診している患者の歯科および内科の診療記録を分析した. 対象と方法 : 北海道医療大学病院の内科と歯科を受診しており, 血液検査・歯周組織検査ずみの93名を対象とした. 対象者は脳梗塞および虚血性心疾患既往の有無で分類後, 診査または検査項目の種類に応じてPearsonのカイ二乗検定, Fisherの正確確率検定, あるいはMann-Whitney検定を行った後, 二項ロジスティック回帰分析で関与している予測因子を解析した. 結果 : 93名中脳梗塞の既往者は8名, 虚血性心疾患の既往者は16名であった. 脳梗塞の既往者はEichner Cで有意に多く, Eichner Aで少なかった (p=0.015). 脳梗塞の既往者の総コレステロール (p=0.023) とHDLコレステロール (p=0.005) は低かった. 虚血性心疾患の既往者では, どの変数にも有意差はみられなかった. 脳梗塞の既往を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析では, Eichner C該当者 {p=0.013, オッズ比 (OR)=17.381, 95%信頼区間 (95%CI)=1.848～163.489} およびHDLコレステロール (p=0.020, OR=0.894, 95%CI=0.813～0.982) が有意な独立変数であることが明らかになった. 虚血性心疾患の既往者に対しては, 統計学的に有意に成立する回帰モデルは構築できなかった. 結論 : 脳梗塞の既往と, 上下顎の咬合接触の喪失を伴う歯の欠損との間で関連が示唆された. |
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| AbstractList | Purpose: This cross-sectional study aimed to investigate the association between dental conditions, clinical markers of periodontal disease and ischemic stroke or coronary heart disease and to assess the potential influence of occlusal condition or inflammatory response on the observed associations. Methods: Ninety-three subjects, including a series of 8 cases with ischemic stroke and 16 with coronary heart disease, were recruited in the study at the Health Sciences University of Hokkaido Hospital. The results of clinical dental examination (number of remaining teeth, number of teeth with probing pocket depth ≥4 mm and 6 mm, percentage and number of teeth with bleeding on probing sites, mean probing pocket depth, periodontal inflamed surface area, Eichner’s classification) and medical or biological parameters (sex, age, alcohol intake, smoking, diabetes mellitus, hypertension, dyslipidemia, pharmacotherapy of these three diseases, hs-CRP, fasting blood glucose, BMI, blood pressure, total cholesterol, HDL, non HDL, LDL, VLDL, triglycerides) were collected. Pearson’s chi-square test, Fisher’s exact test or Mann-Whitney test and multivariable analyses were performed to identify factors associated with ischemic stroke and coronary heart disease. Results: The prevalence of Eichner’s C was significantly higher, and that of Eichner’s A, total cholesterol and HDL were significantly lower in ischemic stroke patients. In the results of binary logistic regression analysis, the odds ratios for ischemic stroke were higher in the group of patients with Eichner’s C (OR=17.381, p=0.013, 95% CI=1.848-163.489) and with lower HDL cholesterol (OR=0.894, p=0.020, 95% CI=0.813-0.982). However, total cholesterol (OR=0.968, p=0.083, 95% CI=0.934-1.004) and hs-CRP (OR=1.604, p=0.090, 95% CI=0.929-2.771) were not statistically significantly different. Every possible predictor that was taken into account was not associated with coronary heart disease. Conclusion: This study demonstrates that Eichner’s C is independently associated with ischemic stroke.
目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検討したものはほとんどない. 本研究では心臓血管疾患の既往と, 残存歯の健康状態ならびに咬合接触との関係を明らかにすることを目的として, 大学病院の内科と歯科の両方を受診している患者の歯科および内科の診療記録を分析した. 対象と方法 : 北海道医療大学病院の内科と歯科を受診しており, 血液検査・歯周組織検査ずみの93名を対象とした. 対象者は脳梗塞および虚血性心疾患既往の有無で分類後, 診査または検査項目の種類に応じてPearsonのカイ二乗検定, Fisherの正確確率検定, あるいはMann-Whitney検定を行った後, 二項ロジスティック回帰分析で関与している予測因子を解析した. 結果 : 93名中脳梗塞の既往者は8名, 虚血性心疾患の既往者は16名であった. 脳梗塞の既往者はEichner Cで有意に多く, Eichner Aで少なかった (p=0.015). 脳梗塞の既往者の総コレステロール (p=0.023) とHDLコレステロール (p=0.005) は低かった. 虚血性心疾患の既往者では, どの変数にも有意差はみられなかった. 脳梗塞の既往を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析では, Eichner C該当者 {p=0.013, オッズ比 (OR)=17.381, 95%信頼区間 (95%CI)=1.848～163.489} およびHDLコレステロール (p=0.020, OR=0.894, 95%CI=0.813～0.982) が有意な独立変数であることが明らかになった. 虚血性心疾患の既往者に対しては, 統計学的に有意に成立する回帰モデルは構築できなかった. 結論 : 脳梗塞の既往と, 上下顎の咬合接触の喪失を伴う歯の欠損との間で関連が示唆された. 「抄録」目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検討したものはほとんどない. 本研究では心臓血管疾患の既往と, 残存歯の健康状態ならびに咬合接触との関係を明らかにすることを目的として, 大学病院の内科と歯科の両方を受診している患者の歯科および内科の診療記録を分析した. 対象と方法 : 北海道医療大学病院の内科と歯科を受診しており, 血液検査・歯周組織検査ずみの93名を対象とした. 対象者は脳梗塞および虚血性心疾患既往の有無で分類後, 診査または検査項目の種類に応じてPearsonのカイ二乗検定, Fisherの正確確率検定, あるいはMann-Whitney検定を行った後, 二項ロジスティック回帰分析で関与している予測因子を解析した. 結果 : 93名中脳梗塞の既往者は8名, 虚血性心疾患の既往者は16名であった. 脳梗塞の既往者はEichner Cで有意に多く, Eichner Aで少なかった(p=0.015). 脳梗塞の既往者の総コレステロール(p=0.023)とHDLコレステロール(p=0.005)は低かった. 虚血性心疾患の既往者では, どの変数にも有意差はみられなかった. 脳梗塞の既往を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析では, Eichner C該当者{p=0.013, オッズ比(OR)=17.381, 95%信頼区間(95%CI)=1.848～163.489}およびHDLコレステロール(p=0.020, OR=0.894, 95%CI=0.813～0.982)が有意な独立変数であることが明らかになった. 虚血性心疾患の既往者に対しては, 統計学的に有意に成立する回帰モデルは構築できなかった. 結論 : 脳梗塞の既往と, 上下顎の咬合接触の喪失を伴う歯の欠損との間で関連が示唆された. 目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検討したものはほとんどない. 本研究では心臓血管疾患の既往と, 残存歯の健康状態ならびに咬合接触との関係を明らかにすることを目的として, 大学病院の内科と歯科の両方を受診している患者の歯科および内科の診療記録を分析した. 対象と方法 : 北海道医療大学病院の内科と歯科を受診しており, 血液検査・歯周組織検査ずみの93名を対象とした. 対象者は脳梗塞および虚血性心疾患既往の有無で分類後, 診査または検査項目の種類に応じてPearsonのカイ二乗検定, Fisherの正確確率検定, あるいはMann-Whitney検定を行った後, 二項ロジスティック回帰分析で関与している予測因子を解析した. 結果 : 93名中脳梗塞の既往者は8名, 虚血性心疾患の既往者は16名であった. 脳梗塞の既往者はEichner Cで有意に多く, Eichner Aで少なかった (p=0.015). 脳梗塞の既往者の総コレステロール (p=0.023) とHDLコレステロール (p=0.005) は低かった. 虚血性心疾患の既往者では, どの変数にも有意差はみられなかった. 脳梗塞の既往を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析では, Eichner C該当者 {p=0.013, オッズ比 (OR)=17.381, 95%信頼区間 (95%CI)=1.848～163.489} およびHDLコレステロール (p=0.020, OR=0.894, 95%CI=0.813～0.982) が有意な独立変数であることが明らかになった. 虚血性心疾患の既往者に対しては, 統計学的に有意に成立する回帰モデルは構築できなかった. 結論 : 脳梗塞の既往と, 上下顎の咬合接触の喪失を伴う歯の欠損との間で関連が示唆された. |
| Author | 長澤, 敏行 森, 真理 川上, 智史 尾立, 達治 古市, 保志 小西, ゆみ子 森谷, 満 寺田, 裕 舞田, 健夫 井出, 肇 辻, 昌宏 |
| Author_FL | Yumiko KONISHI Takeo MAIDA Yasushi FURUICHI Hajime IDE Tomofumi KAWAKAMI Masahiro TSUJI 長澤 敏行 森谷 満 Tatsuji ODACHI Yutaka TERADA Mari MORI |
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| ContentType | Journal Article |
| Copyright | 2016 特定非営利活動法人日本歯科保存学会 |
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| CorporateAuthor | 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系高度先進補綴学分野 北海道医療大学歯学部総合教育学系臨床教育管理運営分野 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系歯周歯内治療学分野 北海道医療大学個体差医療科学センター医学部門内科学系 北海道医療大学病院歯科 北海道医療大学歯学部口腔機能修復・再建学系高度先進保存学分野 北海道医療大学病院内科 |
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| DBID | RYH |
| DOI | 10.11471/shikahozon.59.432 |
| DatabaseName | CiNii Complete |
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| DocumentTitleAlternate | Association between Periodontal Disease, Occlusal Patterns and Ischemic Stroke |
| DocumentTitle_FL | Association between Periodontal Disease, Occlusal Patterns and Ischemic Stroke |
| EISSN | 2188-0808 |
| EndPage | 443 |
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| ISSN | 0387-2343 |
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| Issue | 5 |
| Language | Japanese |
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| PublicationCentury | 2000 |
| PublicationDate | 2016 |
| PublicationDateYYYYMMDD | 2016-01-01 |
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| PublicationDecade | 2010 |
| PublicationTitle | The Japanese Journal of Conservative Dentistry |
| PublicationTitleAlternate | 日歯保存誌 |
| PublicationTitle_FL | Jpn J Conserv Dent 日歯保存誌 日本歯科保存学雑誌 |
| PublicationYear | 2016 |
| Publisher | 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 日本歯科保存学会 The Japanese Society of Conservative Dentistry |
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| Snippet | 目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検... 「抄録」目的 : 歯周病を含む口腔の健康状態と脳梗塞や虚血性心疾患といった心血管疾患との関連については以前から研究されているが, 残存歯の咬合状態を含めて検... Purpose: This cross-sectional study aimed to investigate the association between dental conditions, clinical markers of periodontal disease and ischemic stroke... |
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