AB(−)型患者に発症した急性大動脈解離に対する緊急手術の際に,異型適合血輸血をおこない良好に経過した1症例

血液型がAB(−)の69歳の女性に発症した急性Stanford A型動脈解離に対する上行・部分弓部大動脈置換術の麻酔を経験した。異型適合血として交差適合試験後のA(−)の赤血球濃厚液10単位とAB(+)の血小板濃厚液20単位を術中に投与した。術後の肝腎機能は一過性に軽度の悪化をみたが,臨床的に問題となる溶血反応は認めず,概ね良好に経過して術後31病日に退院した。AB型患者に対するABO異型適合血輸血では,O型の赤血球濃厚液を選択する傾向にあるが,本邦のガイドラインはA型ないしB型の赤血球濃厚液を推奨している。AB(−)型患者に対する緊急大血管手術において,ガイドラインに基づいた異型適合血輸血は...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 26; no. 1; pp. 61 - 64
Main Authors 水木, 絵理, 髙橋, 貴子, 門脇, 輔, 鈴木, 尚志, 大額, 明子, 飯島, 毅彦, 中村, 裕昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2022
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2020-3-018

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Summary:血液型がAB(−)の69歳の女性に発症した急性Stanford A型動脈解離に対する上行・部分弓部大動脈置換術の麻酔を経験した。異型適合血として交差適合試験後のA(−)の赤血球濃厚液10単位とAB(+)の血小板濃厚液20単位を術中に投与した。術後の肝腎機能は一過性に軽度の悪化をみたが,臨床的に問題となる溶血反応は認めず,概ね良好に経過して術後31病日に退院した。AB型患者に対するABO異型適合血輸血では,O型の赤血球濃厚液を選択する傾向にあるが,本邦のガイドラインはA型ないしB型の赤血球濃厚液を推奨している。AB(−)型患者に対する緊急大血管手術において,ガイドラインに基づいた異型適合血輸血は有用であった。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2020-3-018