薄壁空洞病変による気胸を繰り返した扁平上皮肺癌の一例

症例は70歳男性.20XX年3月中旬,他疾患経過観察中の胸部X線写真で左気胸を指摘され当科に紹介された.胸部CTで左気胸と左S3に薄壁空洞を認めた.持続胸腔ドレナージで改善せず,胸腔鏡下左肺部分切除術を行ったところ,薄壁空洞病変より扁平上皮肺癌を認めた.同年7月末に左気胸が再発し,胸部CTで左S8に薄壁空洞を認めた.持続胸腔ドレナージでは改善せず,再度胸腔鏡下左肺部分切除術を行った.病理学的に検討したところ,扁平上皮肺癌を認め,1回目と酷似した病理所見を呈しており肺転移と診断した.同年10月中旬に左気胸が再発し,胸部CTで左上葉に嚢胞性病変が出現した.持続胸腔ドレナージで改善せず,3度目の胸腔...

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Published in天理医学紀要 Vol. 25; no. 1; pp. 22 - 28
Main Authors 本庄, 原, 寺田, 悟, 田中, 栄作, 小橋, 陽一郎, 丸口, 直人, 加持, 雄介, 安田, 武洋, 中村, 哲史, 武田, 淳志, 上山, 維晋, 松村, 和紀, 稲尾, 崇, 橋本, 成修, 羽白, 高, 住吉, 真治, 山本, 亮, 田口, 善夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所 25.12.2022
天理よろづ相談所医学研究所
Subjects
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ISSN1344-1817
2187-2244
DOI10.12936/tenrikiyo.25-005

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Summary:症例は70歳男性.20XX年3月中旬,他疾患経過観察中の胸部X線写真で左気胸を指摘され当科に紹介された.胸部CTで左気胸と左S3に薄壁空洞を認めた.持続胸腔ドレナージで改善せず,胸腔鏡下左肺部分切除術を行ったところ,薄壁空洞病変より扁平上皮肺癌を認めた.同年7月末に左気胸が再発し,胸部CTで左S8に薄壁空洞を認めた.持続胸腔ドレナージでは改善せず,再度胸腔鏡下左肺部分切除術を行った.病理学的に検討したところ,扁平上皮肺癌を認め,1回目と酷似した病理所見を呈しており肺転移と診断した.同年10月中旬に左気胸が再発し,胸部CTで左上葉に嚢胞性病変が出現した.持続胸腔ドレナージで改善せず,3度目の胸腔鏡下左肺部分切除術を行い,同病変を切除したところ,再び扁平上皮肺癌を認めた.この時点で多発肺内転移,肝転移も認め,PD-L1の発現は強陽性であったため,ペムブロリズマブを開始した.治療により病変を制御でき,気胸も再発なく経過している.
ISSN:1344-1817
2187-2244
DOI:10.12936/tenrikiyo.25-005