高肺血流による肺高血圧を呈し乳児早期に開心術を要したシミター症候群の麻酔経験

日齢43日,女児。新生児期に右肺低形成とシミター静脈,心房中隔欠損,体肺動脈側副血管を認めシミター症候群と診断された。高肺血流による肺高血圧のコントロールが困難となり,体肺動脈側副血管のコイル塞栓術の後,心房中隔欠損閉鎖・動脈管結紮術を施行した。術中,心臓を軽度脱転したことで血圧が著明に低下し上・下大静脈への脱血管挿入が困難であり,上行大動脈送血,肺動脈脱血で人工心肺を開始し手術を完遂した。乳児早期に治療介入が必要となるシミター症候群では肺の低形成に加え,左右シャントを複数呈し右心負荷が圧,容量ともに大きい。予期せぬ術中の循環変動や術後肺高血圧クライシスが起こる可能性がある。...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 25; no. 1; pp. 43 - 47
Main Authors 諏訪, 潤子, 細川, 麻衣子, 永谷, 雅子, 大越, 一毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.08.2021
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2020-2-007

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Summary:日齢43日,女児。新生児期に右肺低形成とシミター静脈,心房中隔欠損,体肺動脈側副血管を認めシミター症候群と診断された。高肺血流による肺高血圧のコントロールが困難となり,体肺動脈側副血管のコイル塞栓術の後,心房中隔欠損閉鎖・動脈管結紮術を施行した。術中,心臓を軽度脱転したことで血圧が著明に低下し上・下大静脈への脱血管挿入が困難であり,上行大動脈送血,肺動脈脱血で人工心肺を開始し手術を完遂した。乳児早期に治療介入が必要となるシミター症候群では肺の低形成に加え,左右シャントを複数呈し右心負荷が圧,容量ともに大きい。予期せぬ術中の循環変動や術後肺高血圧クライシスが起こる可能性がある。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2020-2-007