中心静脈カテーテル挿入時にガイドワイヤーがユースタキオ弁に絡みつき抜去に難渋した一例

急性心筋梗塞に対して心拍動下冠動脈バイパス術が行われた。全身麻酔導入後,超音波ガイド下に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。ガイドワイヤーを抜去しようとしたが抵抗を感じ,経食道心エコーでガイドワイヤー先端にユースタキオ弁が絡み付いていることがわかった。長いダイレーターでガイドワイヤーを直線化して絡まりを解除しようと試みたが失敗した。心臓を損傷する危険性があるため,開胸後にガイドワイヤーを体外から引っ張り,抜去に成功した。右心房内に胎生期遺残構造物が残っている場合,中心静脈カテーテル挿入時にガイドワイヤーが絡まる可能性があり十分注意が必要である。ガイドワイヤーが三尖弁などの正常構造物に絡...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 28; no. 1; pp. 103 - 106
Main Authors 谷島, 明秋, 小西, 周, 萬家, 俊博, 濱松, 勇輝, 菊池, 幸太郎, 濱田, 泰輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2024
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2023-2-013

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Summary:急性心筋梗塞に対して心拍動下冠動脈バイパス術が行われた。全身麻酔導入後,超音波ガイド下に右内頸静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。ガイドワイヤーを抜去しようとしたが抵抗を感じ,経食道心エコーでガイドワイヤー先端にユースタキオ弁が絡み付いていることがわかった。長いダイレーターでガイドワイヤーを直線化して絡まりを解除しようと試みたが失敗した。心臓を損傷する危険性があるため,開胸後にガイドワイヤーを体外から引っ張り,抜去に成功した。右心房内に胎生期遺残構造物が残っている場合,中心静脈カテーテル挿入時にガイドワイヤーが絡まる可能性があり十分注意が必要である。ガイドワイヤーが三尖弁などの正常構造物に絡まっている可能性もありその鑑別には経食道エコーが有用である。抜去するには,侵襲の低い方法から試み,損傷に備え心臓外科医のバックアップのもと手術室で行うべきである。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2023-2-013