術後急性対麻痺に対し集学的治療を施行した胸腹部大動脈ステントグラフト内挿術の1症例

胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair:TEVAR)での対麻痺の発生率は,外科手術での発生率と比較すると低いとされているが,ひとたび起こしてしまうと患者予後に関わる重篤な合併症であることには変わりはない。また,脊髄保護戦略の一つとして知られる脳脊髄液ドレナージ(cerebrospinal fluid drainage:CSFD)は200 mm以上のステント長,腹部大動脈手術の既往など対麻痺の高リスク症例に選択的に施行することが推奨されているが,時に重篤な合併症を生じるため,慎重に管理する必要がある。 今回我々は,Crawford...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 28; no. 1; pp. 91 - 95
Main Authors 富田, 寛生, 垣花, 学, 宜野座, 到
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 01.09.2024
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2023-2-002

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Summary:胸部大動脈ステントグラフト内挿術(thoracic endovascular aortic repair:TEVAR)での対麻痺の発生率は,外科手術での発生率と比較すると低いとされているが,ひとたび起こしてしまうと患者予後に関わる重篤な合併症であることには変わりはない。また,脊髄保護戦略の一つとして知られる脳脊髄液ドレナージ(cerebrospinal fluid drainage:CSFD)は200 mm以上のステント長,腹部大動脈手術の既往など対麻痺の高リスク症例に選択的に施行することが推奨されているが,時に重篤な合併症を生じるため,慎重に管理する必要がある。 今回我々は,Crawford分類Ⅱ型の胸腹部大動脈瘤に対してTEVAR,開窓型大動脈ステントグラフト内挿術(fenestrated endovascular aortic repair:F-EVAR)を一期的に施行した78歳男性において,術後急性対麻痺を生じた症例を経験した。CSFDをはじめとした種々の治療を行い,対麻痺の改善を得ることができた。しかし,CSFDによると考えられる脊髄硬膜外血腫も同時に問題となった。脊髄保護戦略に関して慎重な考察を要する症例であった。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2023-2-002