破裂性腹部大動脈瘤に対してEVAR およびダメージコントロールサージェリーを施行した1 例

要旨:症例は78 歳,男性.意識障害・腹痛で発症し,当院搬送後に造影CT にて破裂性腹部大動脈瘤の診断となり緊急でステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術中に腹腔内への再破裂を呈したが急速輸液と大動脈閉塞バルーンの使用で重篤なショック状態は回避できた.EVAR 後,腹部コンパートメント症候群を呈していたため速やかに開腹して減圧を行った.また最終造影ではエンドリークを認めなかったが腹腔内の持続的出血を認め根治的止血は困難であったためガーゼパッキングを施行して一時閉腹を行った.術後2 日目にガーゼ除去および閉腹術を施行した.その際に後腹膜の穿破部の止血も確認できた.術後は管理に難渋したが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 24; no. 6; pp. 879 - 882
Main Authors 中村, 都英, 松山, 正和, 遠藤, 穣治, 西村, 征憲, 長濱, 博幸, 石井, 廣人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2015
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15-00032

Cover

More Information
Summary:要旨:症例は78 歳,男性.意識障害・腹痛で発症し,当院搬送後に造影CT にて破裂性腹部大動脈瘤の診断となり緊急でステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術中に腹腔内への再破裂を呈したが急速輸液と大動脈閉塞バルーンの使用で重篤なショック状態は回避できた.EVAR 後,腹部コンパートメント症候群を呈していたため速やかに開腹して減圧を行った.また最終造影ではエンドリークを認めなかったが腹腔内の持続的出血を認め根治的止血は困難であったためガーゼパッキングを施行して一時閉腹を行った.術後2 日目にガーゼ除去および閉腹術を施行した.その際に後腹膜の穿破部の止血も確認できた.術後は管理に難渋したが,ほぼ術前のADL まで回復し術後96 日目に近医へリハビリ転院となった.術中に腹腔内穿破を認めた破裂性腹部大動脈瘤に対してEVAR およびダメージコントロールサージェリーを施行し良好な結果を得たので報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15-00032