亜急性期心原性SMA 塞栓症に対し選択的カテーテル血栓溶解療法が奏功した1 症例

要旨:SMA 塞栓に伴う急性腸間膜虚血は早期診断と早期治療が重要である極めて予後不良な疾患である.診断の遅れた心原性SMA 塞栓症に対し経皮的血栓溶解療法にて治療し得た症例を経験したため報告する.症例は83 歳女性.突然の腹痛,嘔吐出現.近医でイレウスの診断で入院し発症より36 時間経過後のCT でSMA 塞栓症の診断となり当科緊急紹介となった.心電図はAf 波形であった.CT 上明らかな腸管壊死所見はみとめず抗凝固療法を開始,翌日(発症3 日目)のCT でも腸管壊死進展を疑う所見なく腸管のviability は保たれていると判断し経皮的SMA 選択的持続血栓溶解療法を施行.治療開始2 日後に...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 24; no. 6; pp. 933 - 937
Main Authors 大峰, 高広, 森崎, 浩一, 山岡, 輝年, 岩佐, 憲臣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2015
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15-00042

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Summary:要旨:SMA 塞栓に伴う急性腸間膜虚血は早期診断と早期治療が重要である極めて予後不良な疾患である.診断の遅れた心原性SMA 塞栓症に対し経皮的血栓溶解療法にて治療し得た症例を経験したため報告する.症例は83 歳女性.突然の腹痛,嘔吐出現.近医でイレウスの診断で入院し発症より36 時間経過後のCT でSMA 塞栓症の診断となり当科緊急紹介となった.心電図はAf 波形であった.CT 上明らかな腸管壊死所見はみとめず抗凝固療法を開始,翌日(発症3 日目)のCT でも腸管壊死進展を疑う所見なく腸管のviability は保たれていると判断し経皮的SMA 選択的持続血栓溶解療法を施行.治療開始2 日後には血栓は溶解し,臨床症状は著明に改善した.Golden time を過ぎたSMA 塞栓症においても臨床経過および腸管のviability を慎重に判断すれば低侵襲の経皮的血行再建にて再灌流障害なく症状緩和を期待できると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15-00042