重症虚血肢の診断と治療—疼痛対策

閉塞性動脈硬化症に代表される血管疾患は,病状の進行とともに安静時疼痛または潰瘍・壊死を伴う.とくに重症虚血肢の疼痛は強く,管理に難渋するため,薬物療法,交感神経節ブロック,硬膜外ブロック・末梢神経ブロックなどの区域麻酔,脊髄刺激電極,高気圧酸素療法などさまざまな治療を組み合わせて用いる.高齢者や重症心疾患を有する患者が多いため,循環系への影響が少ない治療が望ましい.区域麻酔は必要な範囲にのみ麻酔効果を発揮する点で有利であり,超音波ガイド下末梢神経ブロックでは効果を必要な部位に正確に限定させることができる.さらに体動時の痛みにも効果的である点で,オピオイドなどの全身投与による鎮痛に比べて非常に優...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 27; no. 2; pp. 137 - 140
Main Author 中塚, 秀輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2018
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18-00036

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Summary:閉塞性動脈硬化症に代表される血管疾患は,病状の進行とともに安静時疼痛または潰瘍・壊死を伴う.とくに重症虚血肢の疼痛は強く,管理に難渋するため,薬物療法,交感神経節ブロック,硬膜外ブロック・末梢神経ブロックなどの区域麻酔,脊髄刺激電極,高気圧酸素療法などさまざまな治療を組み合わせて用いる.高齢者や重症心疾患を有する患者が多いため,循環系への影響が少ない治療が望ましい.区域麻酔は必要な範囲にのみ麻酔効果を発揮する点で有利であり,超音波ガイド下末梢神経ブロックでは効果を必要な部位に正確に限定させることができる.さらに体動時の痛みにも効果的である点で,オピオイドなどの全身投与による鎮痛に比べて非常に優れている.重症虚血肢の疼痛管理においては,薬物療法とともに,超音波ガイド下神経ブロックなどの区域麻酔との併用が有用であり,慢性化した場合には心理社会的要因も考慮して治療に当たる.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00036