頻回の静脈穿刺が原因と考えられた静脈性血管瘤の1手術例

頻回の静脈穿刺が原因と考えられた静脈性血管瘤の1例を経験したので報告する.症例は80歳,女性.多発性骨髄腫で血液内科通院中であり,頻回の採血既往がある.約10年前より右肘窩に腫瘤を認め,増大してきたため精査加療目的に当科紹介となった.CT検査で橈側皮静脈に55×33×22 mmの拡張性病変を認め,超音波検査では動静脈瘻を認めなかった.疼痛などの症状はなかったが,腫瘤の拡大傾向があること,美容的観点より本人の摘出希望があることから手術の方針となった.全身麻酔下に瘤を切除し,病理学的検索を行った.静脈壁は菲薄化しており,中膜の平滑筋,弾性線維は減少,断裂し,内膜は線維性に肥厚していた.12×10 ...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 28; no. 1; pp. 75 - 78
Main Authors 小田, 克彦, 大谷, 将之, 長嶺, 進, 佐熊, 勉, 片平, 晋太郎, 伊藤, 校輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 22.02.2019
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18-00109

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Summary:頻回の静脈穿刺が原因と考えられた静脈性血管瘤の1例を経験したので報告する.症例は80歳,女性.多発性骨髄腫で血液内科通院中であり,頻回の採血既往がある.約10年前より右肘窩に腫瘤を認め,増大してきたため精査加療目的に当科紹介となった.CT検査で橈側皮静脈に55×33×22 mmの拡張性病変を認め,超音波検査では動静脈瘻を認めなかった.疼痛などの症状はなかったが,腫瘤の拡大傾向があること,美容的観点より本人の摘出希望があることから手術の方針となった.全身麻酔下に瘤を切除し,病理学的検索を行った.静脈壁は菲薄化しており,中膜の平滑筋,弾性線維は減少,断裂し,内膜は線維性に肥厚していた.12×10 mmの範囲で中膜から外膜にかけて不規則な毛細血管の密な増生を認め,血管腫に相当する像であった.静脈性血管瘤の病理組織学的所見で,血管腫を呈した例は本邦初である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00109