腹部大動脈瘤人工血管置換術後遠隔期に生じた非吻合部仮性動脈瘤に対してEVAR を施行した1 例

要旨:82 歳男性.2001 年腹部大動脈瘤に対してDacron 製Y 型人工血管置換術を受けた.2014 年腹痛が出現し,CT にて人工血管からの造影剤漏出と仮性動脈瘤を認めた.大動脈造影では人工血管の胴体2 カ所と分岐部直後の両脚に造影剤漏出点を認め,後者は内外腸骨動脈再建時の人工血管吻合部に近く吻合部破綻の可能性が否定できなかったが,前者は非吻合部であり人工血管破綻による非吻合部仮性動脈瘤と診断した.Zenith のイリアックプラグとコンバーターを使用したEVAR と大腿-大腿動脈交叉バイパスを施行し,腹痛は消失した.術後CT にて少量のエンドリークを認めているが,瘤の拡大はなく,術後1...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 24; no. 6; pp. 927 - 931
Main Authors 小林, 平, 小澤, 優道, 濱本, 正樹, 児玉, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2015
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.15-00030

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Summary:要旨:82 歳男性.2001 年腹部大動脈瘤に対してDacron 製Y 型人工血管置換術を受けた.2014 年腹痛が出現し,CT にて人工血管からの造影剤漏出と仮性動脈瘤を認めた.大動脈造影では人工血管の胴体2 カ所と分岐部直後の両脚に造影剤漏出点を認め,後者は内外腸骨動脈再建時の人工血管吻合部に近く吻合部破綻の可能性が否定できなかったが,前者は非吻合部であり人工血管破綻による非吻合部仮性動脈瘤と診断した.Zenith のイリアックプラグとコンバーターを使用したEVAR と大腿-大腿動脈交叉バイパスを施行し,腹痛は消失した.術後CT にて少量のエンドリークを認めているが,瘤の拡大はなく,術後11カ月現在経過観察中である.EVAR は腹部大動脈人工血管置換術後の稀な合併症である非吻合部仮性動脈瘤に対して有用な治療法であり,通常のEVAR が施行困難でも補助デバイスを使用して施行可能であった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.15-00030