ウェブ調査(web-based survey)によるフッ化物応用に関するリスク認知
新たな事象を受け入れるか否かの意志決定にリスク認知が大きく影響していることが知られている.今回は各種フッ化物応用に関するリスク認知の状況を調査した.対象はweb調査会社のモニター会員で,フッ化物洗口実施状況をもとに選定した10県の子を持つ30代女性1,030人である.調査にはSlovicのリスク認知質問紙を用いた.子のフッ化物経験は,塗布61%,歯磨剤69%,洗口18%,フロリデーション0.6%であり,フッ化物に関する知識の入手先は歯科医院と行政が多かった.効果およびリスクの知識の程度は,塗布,歯磨剤,洗口,フロリデーションの順に低くなっていた.怖いと感じる程度はフロリデーションが他と比べて高...
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Published in | 口腔衛生学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 119 - 127 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 口腔衛生学会
2010
日本口腔衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0023-2831 2189-7379 |
DOI | 10.5834/jdh.60.2_119 |
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Summary: | 新たな事象を受け入れるか否かの意志決定にリスク認知が大きく影響していることが知られている.今回は各種フッ化物応用に関するリスク認知の状況を調査した.対象はweb調査会社のモニター会員で,フッ化物洗口実施状況をもとに選定した10県の子を持つ30代女性1,030人である.調査にはSlovicのリスク認知質問紙を用いた.子のフッ化物経験は,塗布61%,歯磨剤69%,洗口18%,フロリデーション0.6%であり,フッ化物に関する知識の入手先は歯科医院と行政が多かった.効果およびリスクの知識の程度は,塗布,歯磨剤,洗口,フロリデーションの順に低くなっていた.怖いと感じる程度はフロリデーションが他と比べて高かった.普及希望は,塗布,歯磨剤で高く,洗口,フロリデーションは低かった.子の利用経験が多いとフッ化物局所応用法の知識,普及希望が高かったが,フロリデーションでは関係性を認めなかった.リスク認知は『怖さ』と『未知性』で形成されていることが知られている.今回も因子分析の結果,『恐怖感』『持っている情報量』と,同様の背景因子が確認できた.各種フッ化物応用は『恐怖感』については大きな差を認めなかったが,『持っている情報量』はフロリデーション,洗口で少なかった.また,フッ化物利用の普及した県とそうでない県の比較で,普及した県の局所応用法の『持っている情報量』は多かったが,フロリデーションのそれは,いずれの県でも少なく,差がなかった.フッ化物局所応用の普及した地域においてでさえ,フロリデーションの情報提供が少ないことが示唆された. |
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ISSN: | 0023-2831 2189-7379 |
DOI: | 10.5834/jdh.60.2_119 |