人間ドックで発見された上部消化管Mucosa-Associated Lymphoid Tissueリンパ腫症例の臨床的検討

目的:健診や人間ドックでの上部消化管検査はX線検査に代わって内視鏡検査が増加してきている.上部内視鏡検査は上部消化管悪性疾患とくにがんに対して早期発見に有効である.今回胃がんや十二指腸ポリープを疑われ生体組織検査をした結果mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫であった症例を経験した.がんと鑑別すべき疾患として重要であるので上部消化管MALTリンパ腫症例を集積して解析した.方法:2001年1月から2006年12月に当院ドックで上部消化管内視鏡検査を受けた延べ28,122人を対象に,上部消化管生検を施行され病理組織検査でMALTリンパ腫と診断した13...

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Published in人間ドック Vol. 22; no. 5; pp. 793 - 799
Main Authors 奥村, 光絵, 郡司, 俊秋, 松谷, 章司, 浦部, 晶夫, 松橋, 信行, 佐々部, 典子, 藤林, 和俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2008
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock2005.22.793

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Summary:目的:健診や人間ドックでの上部消化管検査はX線検査に代わって内視鏡検査が増加してきている.上部内視鏡検査は上部消化管悪性疾患とくにがんに対して早期発見に有効である.今回胃がんや十二指腸ポリープを疑われ生体組織検査をした結果mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫であった症例を経験した.がんと鑑別すべき疾患として重要であるので上部消化管MALTリンパ腫症例を集積して解析した.方法:2001年1月から2006年12月に当院ドックで上部消化管内視鏡検査を受けた延べ28,122人を対象に,上部消化管生検を施行され病理組織検査でMALTリンパ腫と診断した13例について臨床的に検討した.結果:年齢は41歳から77歳で平均56.8歳,男女比は9対4,発見率は0.046%であった.自覚症状は1例でのみ認め,胸焼け・心窩部痛・腹痛であった.LDH値は全例正常範囲,performance status(PS)は全例0,臨床病期は検索しえた11例で全例1期であった.胃病変群と十二指腸病変群に分け検討したが,胃病変群では除菌治療で再発を認めていない.結論:上部消化管MALTリンパ腫発見にはピロリ菌陽性者では1年から2年毎の内視鏡検診が有用で,胃病変は粘膜表層の変化に注意し詳細な観察と生体組織検査が重要であり,十二指腸病変は濾胞性リンパ腫との鑑別が重要である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock2005.22.793