ショック状態から救命しえた右内腸骨動脈瘤破裂,直腸穿破の一例

下部消化管への動脈腸管瘻は稀な疾患で早期診断が難しく,感染を併発しやすいことから予後不良である.近年内腸骨動脈瘤破裂に対する血管内治療が報告されているが,出血コントロールが困難な場合もあり,かつ下部消化管瘻では感染が問題となる.症例は88歳,男性.下血を主訴に来院し,右内腸骨動脈瘤破裂,直腸穿破の診断で緊急手術を行った.右内腸骨動脈根部を遮断して瘤を切開,中枢側を縫合閉鎖し,瘤内の血栓を除去,分枝血管を縫合止血,瘤壁を縫合した.直腸との瘻孔の処置は行わず,横行結腸で双孔式人工肛門造設,直腸膀胱窩ドレーンを留置した.術後下血を認めず,注腸造影後にドレーンを抜去した.術後感染徴候はなく,介助で歩行...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 27; no. 5; pp. 393 - 397
Main Authors 軽部, 義久, 新里, 稔, 笠間, 啓一郎, 内田, 敬二, 益田, 宗孝, 浦中, 康子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29.10.2018
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.18-00019

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Summary:下部消化管への動脈腸管瘻は稀な疾患で早期診断が難しく,感染を併発しやすいことから予後不良である.近年内腸骨動脈瘤破裂に対する血管内治療が報告されているが,出血コントロールが困難な場合もあり,かつ下部消化管瘻では感染が問題となる.症例は88歳,男性.下血を主訴に来院し,右内腸骨動脈瘤破裂,直腸穿破の診断で緊急手術を行った.右内腸骨動脈根部を遮断して瘤を切開,中枢側を縫合閉鎖し,瘤内の血栓を除去,分枝血管を縫合止血,瘤壁を縫合した.直腸との瘻孔の処置は行わず,横行結腸で双孔式人工肛門造設,直腸膀胱窩ドレーンを留置した.術後下血を認めず,注腸造影後にドレーンを抜去した.術後感染徴候はなく,介助で歩行可能な状態まで改善し,回復期リハビリテーション病院へ転院した.動脈瘤切除,人工肛門造設術で救命しえた一例を経験したので文献的考察を含め報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.18-00019