下行大動脈のsealed ruptureで発見されたIgG4関連疾患の1例

症例は66歳男性.前胸部違和感のため施行したCTにて下行大動脈右背側に腫瘤性病変を認め,炎症反応も高値であった.造影MRIにて下行大動脈右側壁から造影剤の漏出を認めsealed ruptureが疑われた.血液培養は陰性でPET/CTにて下行大動脈に沿ったmassに強い集積を認め,他臓器に活動性炎症を示唆する集積は認めなかった.待機的に下行大動脈置換術を施行したが,血液検査にてIgG4 224 mg/dL,血管壁組織検査ではIgG4陽性形質細胞が無数に認められIgG4関連疾患の確定診断に至った.IgG4関連疾患による炎症性大動脈瘤は稀な疾患であるが致死的となり得る重要な疾患である.今回seale...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 10; pp. 1063 - 1069
Main Authors 大友, 建一郎, 磯部, 光章, 伊藤, 栄作, 小野, 裕一, 東海林, 裕子, 清水, 茂雄, 栗原, 顕, 染谷, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.1063

Cover

More Information
Summary:症例は66歳男性.前胸部違和感のため施行したCTにて下行大動脈右背側に腫瘤性病変を認め,炎症反応も高値であった.造影MRIにて下行大動脈右側壁から造影剤の漏出を認めsealed ruptureが疑われた.血液培養は陰性でPET/CTにて下行大動脈に沿ったmassに強い集積を認め,他臓器に活動性炎症を示唆する集積は認めなかった.待機的に下行大動脈置換術を施行したが,血液検査にてIgG4 224 mg/dL,血管壁組織検査ではIgG4陽性形質細胞が無数に認められIgG4関連疾患の確定診断に至った.IgG4関連疾患による炎症性大動脈瘤は稀な疾患であるが致死的となり得る重要な疾患である.今回sealed ruptureを契機にIgG4関連疾患と診断された症例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.1063