小学生における歯列・咬合状態の追跡研究

学校歯科保健における歯列不正・咬合異常のスクリーニング基準を明確化することを目的に本研究を行った.小学校に2002(平成14)年に新入学した児童を対象として1年生から6年生まで6年間,のべ160名の歯列・咬合の状態について縦断的調査(追跡調査)を行い,発現頻度や経年推移の実態および調査で使用した判定基準の有効性(敏感度+特異性)を求め,歯列不正・咬合異常のスクリーニングの条件を検討した.その結果不正や異常の発現頻度が各学年とも比較的多いのは「上下正中線の不一致」,「上顎前歯の叢生」,「下顎前歯の叢生」,「正中離開」,「上顎前突」であった.経年推移では反対咬合は学年が上がるにつれ減少して,上顎前...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 58; no. 3; pp. 158 - 167
Main Authors 中垣, 晴男, 佐々木, 晶浩, 野々山, 郁, 森田, 一三, 佐々木, 貴浩, 柘植, 紳平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2008
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.58.3_158

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Summary:学校歯科保健における歯列不正・咬合異常のスクリーニング基準を明確化することを目的に本研究を行った.小学校に2002(平成14)年に新入学した児童を対象として1年生から6年生まで6年間,のべ160名の歯列・咬合の状態について縦断的調査(追跡調査)を行い,発現頻度や経年推移の実態および調査で使用した判定基準の有効性(敏感度+特異性)を求め,歯列不正・咬合異常のスクリーニングの条件を検討した.その結果不正や異常の発現頻度が各学年とも比較的多いのは「上下正中線の不一致」,「上顎前歯の叢生」,「下顎前歯の叢生」,「正中離開」,「上顎前突」であった.経年推移では反対咬合は学年が上がるにつれ減少して,上顎前突・前歯部の叢生では増加した.幅1mm以上の正中離開は約8割が6年生までに1mm以下となり改善した.今回の調査で使用した判定基準のほとんどの項目でスクリーニングの有効性(敏感度+特異度)が150%以上で有意な高い値を示した.低学年(1・2年生)では咬合異常,中学年(3・4年生)では咬合異常と上顎前歯の叢生や正中離開,高学年(5・6年生)では咬合異常と上下顎前歯の叢生や正中離開が主要な検査項目として必要であることが検証できた.これらを学校歯科保健において定期的観察が必要:1に該当するMO(Questionable Malocclusion for Observation)の概念と基準となる試案を作成した.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.58.3_158