石曽根論文に対するEditorial Comment

Valsalva洞動脈瘤は比較的稀な疾患で, 罹患率は近年でも明らかになっていないが, 未破裂を含めても0.1%未満と推察される. しかし, 破裂すると重篤な病態に陥ることが多いため, 早期発見とともに適切な治療方針へ導くことは臨床上重要な課題である. 本論文において石曽根らは, 自施設におけるバルサルバ洞動脈瘤破裂症例の臨床背景について報告しているが, それを探ることは破裂リスクを予測する上で重要であり興味深い報告である. Valsalva洞動脈瘤には, Valsalva洞の局所が突出して嚢状瘤となるものと, Valsalva洞の1つ(あるいは複数)が全体的に拡大し瘤化するものが認められる....

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Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 47; no. 10; pp. 1187 - 1188
Main Author 佐々木, 俊輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.1187

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Summary:Valsalva洞動脈瘤は比較的稀な疾患で, 罹患率は近年でも明らかになっていないが, 未破裂を含めても0.1%未満と推察される. しかし, 破裂すると重篤な病態に陥ることが多いため, 早期発見とともに適切な治療方針へ導くことは臨床上重要な課題である. 本論文において石曽根らは, 自施設におけるバルサルバ洞動脈瘤破裂症例の臨床背景について報告しているが, それを探ることは破裂リスクを予測する上で重要であり興味深い報告である. Valsalva洞動脈瘤には, Valsalva洞の局所が突出して嚢状瘤となるものと, Valsalva洞の1つ(あるいは複数)が全体的に拡大し瘤化するものが認められる. Meierらの心エコーによる詳細な報告では, この前者をValsalva洞動脈瘤と定義しており, 後者はMarfan症候群などにみられる大動脈基部の拡大, または漏斗部心室中隔欠損に伴いValsalva洞周辺の支持組織の欠損により洞の1つが右室への血流に引き込まれて逸脱しつつ瘤化したもの, として定義を分けている.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1187