炭酸リチウム服用中に洞機能不全をきたした1例

症例は66歳女性. 40歳代より, 近医精神科から双極性障害の治療薬として炭酸リチウム600mg/日が投与されていた. 食思不振, 構音障害, 手指振戦を主訴に来院. 12誘導心電図にて, 心拍数30/分と顕著な徐脈を呈し, 補充調律を伴う洞停止の所見を認めた. 中枢神経症状, 消化器症状とあわせて炭酸リチウム中毒を疑い, 薬剤の中止と大量補液, 一時的ペースメーカー挿入を行った. 入院時の血中リチウム濃度は3.8mEq/Lと中毒域であることが判明し, 上述の治療により第6病日には血中濃度が1.3mEq/Lまで改善. それとともに調律も心拍数50/分前後の洞調律に復帰し, 一時的ペースメーカー...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 12; pp. 1609 - 1614
Main Authors 杉下, 靖之, 澤田, 直子, 桐山, 晧行, 野崎, 彰, 吉玉, 隆, 杉本, 恒明, 沼尾, 嘉美, 伊藤, 敦彦, 田部井, 史子, 齊藤, 暁人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.1609

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Summary:症例は66歳女性. 40歳代より, 近医精神科から双極性障害の治療薬として炭酸リチウム600mg/日が投与されていた. 食思不振, 構音障害, 手指振戦を主訴に来院. 12誘導心電図にて, 心拍数30/分と顕著な徐脈を呈し, 補充調律を伴う洞停止の所見を認めた. 中枢神経症状, 消化器症状とあわせて炭酸リチウム中毒を疑い, 薬剤の中止と大量補液, 一時的ペースメーカー挿入を行った. 入院時の血中リチウム濃度は3.8mEq/Lと中毒域であることが判明し, 上述の治療により第6病日には血中濃度が1.3mEq/Lまで改善. それとともに調律も心拍数50/分前後の洞調律に復帰し, 一時的ペースメーカーを抜去し得た. 第9病日には血中濃度が0.4mEq/Lと正常域まで改善し, その他の中毒症状も消失した. 炭酸リチウム中毒により洞機能不全を呈した1例を経験したため報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1609