胃X線検査によるヘリコバクターピロリ感染の予測についての検討

目的:近年,胃がん発生の危険因子であるHelicobacter pylori(H. pylori)の血中抗体と血清ペプシノゲン(PG)を用いた胃がんリスク検診が注目されており,当施設でも平成23年度よりこれらの検査をオプション検査として導入した.今回,胃X線検査で描出された所見とH. pylori抗体およびPG検査結果を比較することにより,胃X線検査のH. pylori感染予測における有用性を検討した. 対象と方法:平成23年4月~平成24年3月の当施設健診受診者のうち,胃X 線検査と同時にH. pylori抗体検査またはPG検査を行った200人を対象とし,胃X線検査による萎縮性胃炎を中心とし...

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Published in人間ドック Vol. 28; no. 5; pp. 774 - 780
Main Authors 大隅, 康之, 飯塚, 政弘, 木村, 美奈子, 保坂, 薫子, 相良, 志穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2014
日本人間ドック学会
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.28.774

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Summary:目的:近年,胃がん発生の危険因子であるHelicobacter pylori(H. pylori)の血中抗体と血清ペプシノゲン(PG)を用いた胃がんリスク検診が注目されており,当施設でも平成23年度よりこれらの検査をオプション検査として導入した.今回,胃X線検査で描出された所見とH. pylori抗体およびPG検査結果を比較することにより,胃X線検査のH. pylori感染予測における有用性を検討した. 対象と方法:平成23年4月~平成24年3月の当施設健診受診者のうち,胃X 線検査と同時にH. pylori抗体検査またはPG検査を行った200人を対象とし,胃X線検査による萎縮性胃炎を中心とした慢性胃炎(以下,慢性胃炎)の有無とH. pylori抗体・PG検査結果を比較し,胃X線検査によるH. pylori感染診断の精度について検討を行った. 結果:H. pylori抗体陽性例の96.8%,H. pylori抗体・PGともに陽性例の100%に胃X線検査で慢性胃炎が認められた.H. pylori抗体・PGともに陰性例では,胃X 線検査で慢性胃炎が認められた頻度は8.9%であった.H. pylori抗体陽性例およびH. pylori抗体陰性かつPG陽性例をH. pylori感染例と考えた場合,胃X線検査では感度91.5%,特異度93.3%,正診率92.3%でH. pylori感染が診断できた. 結論:胃X線検査はH. pylori感染の予測において有用な検査と考えられた.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.28.774