右室憩室の1例
症例は64歳,男性.尿路結石による背腹部痛のため受診した.その際の単純CT検査において,前縦隔に腫瘤像を認め,縦隔腫瘍を疑い精査が行われた.胸部X線写真,心電図に異常なく,心エコー検査では,無エコー性の内腔を有する約1.3×1.5cmの腫瘤像を胸壁近くの右室前下方に認めた.内部の血流信号や壁運動の詳細は不明であった.造影CT検査では,右室心尖部前方に約1.5cm径の内腔が右室腔と交通する突起様構造物を認め,3次元再構成像で右室心尖部内側から前下方へ細い交通路で連絡する状構造物を認めた.心臓カテーテル検査時の右室造影で,右室から茎状構造物を経由し造影剤が流入する小腔を認め,その壁に収縮性はみられ...
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Published in | Shinzo Vol. 42; no. 4; pp. 489 - 493 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2010
日本心臓財団 Japan Heart Foundation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.42.489 |
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Summary: | 症例は64歳,男性.尿路結石による背腹部痛のため受診した.その際の単純CT検査において,前縦隔に腫瘤像を認め,縦隔腫瘍を疑い精査が行われた.胸部X線写真,心電図に異常なく,心エコー検査では,無エコー性の内腔を有する約1.3×1.5cmの腫瘤像を胸壁近くの右室前下方に認めた.内部の血流信号や壁運動の詳細は不明であった.造影CT検査では,右室心尖部前方に約1.5cm径の内腔が右室腔と交通する突起様構造物を認め,3次元再構成像で右室心尖部内側から前下方へ細い交通路で連絡する状構造物を認めた.心臓カテーテル検査時の右室造影で,右室から茎状構造物を経由し造影剤が流入する小腔を認め,その壁に収縮性はみられなかった.また内腔に血栓像は認めなかった.心室瘤と心室憩室との鑑別基準は明確には定められていないが,心室との交通路が狭いことや構造物の形態から右室憩室と考えた. 本症例では,造影CT検査が診断に非常に有用であった.これまで心室憩室の頻度は低いと報告されてきたが,画像診断技術の進歩により,今後本症の発見頻度が増加すると思われ,さらに本症の予後についても知見が得られることが期待される. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.42.489 |