公診連携を目指した8020育成事業の評価

新潟県では, 学校と歯科医療機関の連携を築くために8020育成事業を実施した.本調査では同事業の初年度の結果を評価することを目的としている.8020育成事業は, 学校と歯科医療機関を連携する新体系を構築するために実施された.新潟県内の1町をのぞく110市町村が本事業に参加した.本事業に参加した人数は, 小学生では138,536人, 中学生では77,082人である.本事業では, 通常の学校歯科健診において, 要観察歯や歯肉炎が確認された学童・生徒に統一された書式により歯科医療機関で予防処置を受けるように勧奨・勧告を行った.要観察歯を所有していた学童・生徒の割合は, 小学生では12.2%, 中学生...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 55; no. 2; pp. 113 - 117
Main Authors 石上, 和男, 濃野, 要, 葭原, 明弘, 高徳, 幸男, 河内, 博, 片山, 修, 片岡, 照二郎, 峯田, 和彦, 宮崎, 秀夫, 清田, 義和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2005
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.55.2_113

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Summary:新潟県では, 学校と歯科医療機関の連携を築くために8020育成事業を実施した.本調査では同事業の初年度の結果を評価することを目的としている.8020育成事業は, 学校と歯科医療機関を連携する新体系を構築するために実施された.新潟県内の1町をのぞく110市町村が本事業に参加した.本事業に参加した人数は, 小学生では138,536人, 中学生では77,082人である.本事業では, 通常の学校歯科健診において, 要観察歯や歯肉炎が確認された学童・生徒に統一された書式により歯科医療機関で予防処置を受けるように勧奨・勧告を行った.要観察歯を所有していた学童・生徒の割合は, 小学生では12.2%, 中学生では19.1%であった.予防処置を受けるよう勧奨・勧告を受けた学童・生徒のうち, 歯科医療機関を受診した割合は, 小学生では55.6%, 中学生では36.3%であった.また, 歯科医療機関では, 38.8%の小学生, 36.3%の中学生がフィッシャーシーラントの填塞処置を受けた.一方, 歯肉炎を所有していた学童・生徒の割合は, 小学生では3.0%, 中学生では5.9%であった.予防処置を受けるよう勧奨・勧告を受けた学童・生徒のうち, 歯科医療機関を受診した割合は, 小学生では54.6%, 中学生では30.8%であった.歯科医療機関では, 43.2%の小学生, 51.0%の中学生が歯石除去の処置を, また, 51.2%の小学生, 56.5%の中学生が口腔衛生指導を受けた.これらの結果は, 8020育成事業が学校と歯科医療機関との連携には非常に有効であったことを示している.これは, かかりつけ歯科医機能を地域単位で実践するための1つの形と考える.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.55.2_113