非透析患者の僧帽弁に発症したCalcified Amorphous Tumorの1例
症例は82歳, 女性. 高血圧症, 2型糖尿病, 脂質異常症の診断で近医通院中であった. 脳梗塞を発症し, リハビリの経過中の経胸壁心エコー検査で左心房内に浮遊性エコーを認め, 紹介入院となった. 経食道心エコーでは左心耳, 左心房内に血栓を認めず, 僧帽弁の著明な石灰化に加え, 後尖 (P1) に可動性を伴う約10mm大の疣贅様構造物を認めた. リウマトイド因子陽性以外に, 膠原病や血管炎類縁疾患なく, Ca代謝異常を示唆する所見は認めなかった. また, 発熱なく, 炎症所見も陰性であった. 四肢末梢塞栓症状があり, 心エコー所見から感染性心内膜炎の可能性も否定できないため, 血液培養提出後...
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          | Published in | Shinzo Vol. 46; no. 9; pp. 1261 - 1273 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益財団法人 日本心臓財団
    
        2014
     日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI | 10.11281/shinzo.46.1261 | 
Cover
| Summary: | 症例は82歳, 女性. 高血圧症, 2型糖尿病, 脂質異常症の診断で近医通院中であった. 脳梗塞を発症し, リハビリの経過中の経胸壁心エコー検査で左心房内に浮遊性エコーを認め, 紹介入院となった. 経食道心エコーでは左心耳, 左心房内に血栓を認めず, 僧帽弁の著明な石灰化に加え, 後尖 (P1) に可動性を伴う約10mm大の疣贅様構造物を認めた. リウマトイド因子陽性以外に, 膠原病や血管炎類縁疾患なく, Ca代謝異常を示唆する所見は認めなかった. また, 発熱なく, 炎症所見も陰性であった. 四肢末梢塞栓症状があり, 心エコー所見から感染性心内膜炎の可能性も否定できないため, 血液培養提出後にエンピリック療法による抗生剤投与を開始した. 血液培養検査はすべて陰性で4週間投与後も炎症所見の上昇はなかった. 心エコーで疣贅様構造物の大きさに変化がなかったため, 開心術による疣贅様構造物除去術を施行し, 術後経過は良好であった. 切除した組織の病理はグラム染色で菌体を認めず, 石灰化と肉芽腫様変化を認め, Calcified Amorphous Tumor (CAT) と診断された. 疣贅様構造物を認める症例は全身の塞栓症をきたす可能性があり, その鑑別の1つにCATを念頭に置く必要がある. | 
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016  | 
| DOI: | 10.11281/shinzo.46.1261 |