PAI-1測定試薬「ナノピア® PAI-1」の基礎的検討

線溶抑制因子の一つであるPAI-1は,炎症性サイトカインにより発現が惹起されるため,PAI-1の増加は主に敗血症に起因する線溶抑制型DICを示唆する所見として重要である。従来,PAI-1測定には専用機器および試薬が必要であったが,汎用機に搭載可能な「ナノピア® PAI-1」が開発されたことから,その基礎的検討を行った。同時再現性のCVは1.29~3.85%と良好だった。オンボードでの試薬安定性を検討した結果,試薬架設後6日目に測定値の低下がみられたが,測定毎に試薬を架設した室内精度のCVは2.32~5.09と良好だった。また,共存物質の影響は認められなかった。希釈直線性は良好であり,実効検出感...

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Published inJapanese Journal of Medical Technology Vol. 67; no. 3; pp. 334 - 339
Main Authors 淺沼, 康一, 小林, 亮, 髙橋, 聡, 盛合, 亮介, 柳原, 希美, 遠藤, 明美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.05.2018
日本臨床衛生検査技師会
Japanese Association of Medical Technologists
Subjects
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ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.17-137

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Summary:線溶抑制因子の一つであるPAI-1は,炎症性サイトカインにより発現が惹起されるため,PAI-1の増加は主に敗血症に起因する線溶抑制型DICを示唆する所見として重要である。従来,PAI-1測定には専用機器および試薬が必要であったが,汎用機に搭載可能な「ナノピア® PAI-1」が開発されたことから,その基礎的検討を行った。同時再現性のCVは1.29~3.85%と良好だった。オンボードでの試薬安定性を検討した結果,試薬架設後6日目に測定値の低下がみられたが,測定毎に試薬を架設した室内精度のCVは2.32~5.09と良好だった。また,共存物質の影響は認められなかった。希釈直線性は良好であり,実効検出感度は臨床上も十分な値であった。プロゾーン現象もみられなかった。対照試薬との比較においても,良好な相関性が得られた。さらに,試料中の残存血小板による測定値への影響を検討したが,調整直後の試料では残存血小板数増加による測定値の上昇は認められなかった。一方,凍結融解を行った試料では残存血小板数および凍結融解数に依存した測定値の上昇傾向を認めた。このことより,PAI-1を精度よく測定するためには,「凝固検査検体取り扱いに関するコンセンサス」に従った検体調整を行い,凍結融解は1回までとすることが必要と考えられた。本試薬の基本性能は良好であり,汎用機に搭載可能であることから,日常検査および緊急検査に有用であると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.17-137