北井論文に対するEditorial Comment

特発性冠動脈解離(spontaneous coronary artery dissection;SCAD)は冠危険因子を有さない若年女性に生じる急性心筋梗塞の主な原因の1つである. 最初の報告は1931年で突然死症例の剖検報告であった1). そこでは内膜のエントリー部位がみつかることはめったになく, vasa vasorumから中膜への出血が解離の機序と考えられていた. しかし, その後の冠動脈造影による検討から, 内膜が破綻し冠動脈壁が解離し偽腔により真腔が圧排されて閉塞し心筋梗塞を発症することが示された. また, 冠動脈壁の脆弱化の要因として, ホルモンの影響, 嚢胞状中膜壊死や外膜に浸潤...

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Published inShinzo Vol. 45; no. 8; pp. 1047 - 1048
Main Author 小宮山, 伸之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2013
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.45.1047

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Summary:特発性冠動脈解離(spontaneous coronary artery dissection;SCAD)は冠危険因子を有さない若年女性に生じる急性心筋梗塞の主な原因の1つである. 最初の報告は1931年で突然死症例の剖検報告であった1). そこでは内膜のエントリー部位がみつかることはめったになく, vasa vasorumから中膜への出血が解離の機序と考えられていた. しかし, その後の冠動脈造影による検討から, 内膜が破綻し冠動脈壁が解離し偽腔により真腔が圧排されて閉塞し心筋梗塞を発症することが示された. また, 冠動脈壁の脆弱化の要因として, ホルモンの影響, 嚢胞状中膜壊死や外膜に浸潤した抗酸球からの蛋白分解酵素の影響なども考えられている2). SCADの診断と治療に関して国内外でいくつもの症例報告がなされているが, 米国Mayo ClinicのTweetらは87症例について後ろ向きに検討した3).
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.1047